プラトン学園 (講談社文庫 お 102-1)
プラトン学園 (講談社文庫 お 102-1) / 感想・レビュー
マウリツィウス
【ACADEMEIA】古代史上におけるユダヤ教概念の核心を貫いた奥泉作品、哲学思考を抽象化するのではなく再誕生させた性質像に着目すべきであり古典様式美を取り入れた幾何学空間に意味を見出すことが出来る。そして近現代文学がフランス系列のスノビズムに支配されることを予想していた奥泉氏は古典ギリシャ思想を《原典性において》再現しており、その比率とは律法社会をトーラーの誤謬だと既に断定、見抜いている。文学普遍史を軽視した古典至上作風を《類稀なる詩才》で以て新約依存から解放、《世界的影響力》の修辞ではない完遂美学論。
2013/07/11
てふてふこ
日本海に浮かぶ象島。主人公・木苺惇一は新任教師としてプラトン学園へ。始めは前任教師の死の謎を探るミステリだが、坂を転げ落ちる様かの展開と仮想現実の世界に飲み込まれる。胡散臭い学園と教師陣、木苺の怠惰な生活・・・って、この木苺はどの木苺?自分は何者か解らなくなる恐怖。全てに納得とはいかないけど、満足出来る読後感です。
2014/02/03
ネムル
謎の秘密結社だ、恐竜だ、UFOだという派手な道具立てともの凄い早い展開が過剰さには全く繋がらず、次々と掌の隙間からこぼれ落ちていく。今読むにはオチはこうだろうと予測するところにずばり落ちるのだが、ラスト数ページの泣かせは半端ない。その一方で人物、時間、世界がずれていく恐怖が、笑えて楽しく書かれているのがずるいというか見事というか。
2012/12/07
けいちゃっぷ
面白く読みましたが、『マトリックス』を「体験」してしまい、さまざまなネット環境に身をおく今となっては、いささか古いネタと言えるかも。512ページ
2010/03/13
Ikuto Nagura
自分が認識する自分。他者が認識する自分。さらにはその理想と現実。無数の自分像のうち、本当の自分はどんな存在なのだろう。「じゃあ、どこにいるんです?」「あらゆる場所に。あなたは、ぼく同様、無数に存在している。無数の出来事とともにある。あなたは偏在している」「それは、つまり、存在していないのと同じなんじゃないですか?」うん、そうなのかも…。ところで『新・地底旅行』に恐竜が出てきて違和感を覚えたのだけど、ここにルーツがあったんだね。でもなぜ恐竜?そして、本作の木苺惇一と『バナールな現象』の木苺勇一の関係とは??
2016/02/23
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