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袋小路の男 (講談社文庫 い 113-2)

袋小路の男 (講談社文庫 い 113-2)

袋小路の男 (講談社文庫 い 113-2)

作家
絲山秋子
出版社
講談社
発売日
2007-11-15
ISBN
9784062758840
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袋小路の男 (講談社文庫 い 113-2) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

3篇の作品を収録。表題作は、袋小路に住む「あなた」に恋い焦がれる物語なのだが、その「袋小路」は、文字通りの意味とともに、毎回文学賞に応募しつつ、作家になれない小田切が置かれた状況の喩でもある。そして、それは性や境遇こそ違え、ありえたかも知れない絲山秋子自身の姿でもあった。これに続く「小田切孝の言い分」は、前作と対をなす作品だが、ここでも18年間に及ぶ日向子との付かず離れずの関係性が語られる。何かせつなくもあり、またそれはそれとしての日常でもあり、そしてそのまま小田切の状況をも飲み込んでいるかのようだ。

2014/07/28

しんごろ

『袋小路の男』『小田切孝の言い分』…叶わない想い…。そんな感じの印象を受けた物語でしたけど、小田切がなんか腹立たしい奴で、日向子も優柔不断っぽくて、はっきりしない。だから想いがすれ違う。こんな二人だから、くっつかないんだとそんな感じを受けました。久しぶりになんかモヤモヤして、すっきりしない気分でした。『アーリオ オーリオ』…哲おじさんと美由の関係、ほのぼのして微笑ましく、読後感はほのぼのして爽やかでしたね。久しぶりに夜空の星を眺めながら、ゆっくり歩きたくなる作品でした。

2018/02/25

masa@レビューお休み中

こんな男女の関係はあり得るだろうか?僕はあり得ると思うのだ。恋人ではなく、家族でもなく、友達とも呼べるかどうかもわからない。微妙で、繊細で、けれども切れない絆で結ばれている大谷と小田切のふたりの関係が、慣れてくると心地よさすら感じてしまう。白でもなく黒でもなく、グレイの世界は一般社会では受け入れられない。そういう意味では、彼女たちははみ出しものなのかもしれない。それでもいいのではないだろうか。好きという想いがあり、その好きな人に会うことができるのなら、それでいいのではないだろうか…。

2016/03/28

めろんラブ 

短篇の名手は小説巧者である、と言われる。確かに、限られた枚数で物語世界を美しく確立させるのは至難の業だろう。絲山さんは現存する作家の中で私が最も信頼する書き手のひとり。特に短篇における切れ味、それが息苦しいほど透徹した孤高をみせる。さて、デビュー3作目となる本作は、じわりと染みる男女の機微を控えめ&クールに描いた短篇集。言葉、文体、人称、句読点に至るまで疎かにせず挑んだ結晶の輝きを、余さず絶賛した松浦氏の解説も好い。主観の交え方が素敵に可愛い。氏とは、絲山作品どハマり対決で是非一度お手合わせ願いたい。

2014/03/12

酔拳

表題作は、主人公が12年間振り向いてくれない小田切への恋を、主人公視点で描かれている。「小田切孝の言い分」は小田切視点で描かれている。12年間も振り向いてくれない男を想い続けられるのは、現実にはなかなかない話で、それを小説にできることはまた、すごいことだと思った。「アーリオオーリオ」は、偏屈なおじさんと姪との、清廉な文通です。こちらのほうが、話に入り込み安かった。今の携帯電話全盛の時代に、文通でやりとりをすることに斬新さがあり、おじさんらしいと思うし、姪御もよく、文通に応じたなと思う。

2018/08/31

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