傷口にはウオッカ (講談社文庫 た 96-3)
傷口にはウオッカ (講談社文庫 た 96-3) / 感想・レビュー
アコ
「もうどうでもいいよ。好きにしたら?」と言いたくなることやそうした態度をとることはたまにあるけれど大道さんの小説を読むとわたしのそれらはなんと小さなものか!と笑ってしまう。ここまで「もうどうでもいいよ」な生活をする40歳独身女性ってすごい。尊敬と軽蔑半々ですごい。(その周辺のひとたちもね。)肛門云々やら愛してるんだかいないんだかの男たちとのセックスにたいしてやたら神妙に取り組む主人公の姿がページ数多めに描かれているものの淡々としたゆるーい文体ゆえコメディにすら感じるし、ううーんこのゆるさはくせになる。
2014/03/11
しき
????? 永遠子があまりにもつかみどころがない。所々でドキッとする文章はあるんだけど、永遠子は多くを語らない。彼女は痛みを堪えているのかな?それとも自ら痛みの中に飛び込んでいるのかな?はたまた痛みを無視しているのかな?私には読解力がないみたい・・・。でも、なんとなーく前向きに終わるのはよかった。
2010/12/06
Ichiro Toda
名前は存じ上げていて、しょっぱいドライブも読んだはずなのに、なぜか作者を男性だと思っていて。そういう先入観に読み始めたら完全に作者にその気があるように思えて少し怖かった。それほどまでに女性を描いていて、それが切迫して感じられた。40歳という年齢に対する不安感、そしてそれをあきらめていると自分を調教しながらも、かえって求めているという自分が浮き上がってくる。最後の場面が印象的で、向こうの世界とこちらの世界の合間にいる主人公が、こちらの世界からの救いを待つという構造は物語全体を締め上げる。大変面白かった。
2015/08/27
ゆっ
相変わらず生々しい女性が出てくる。痛みを感じて生きているという実感を得ることはさほど難しくないけど、またちょっと違った意味合いを持つ話だった。スッキリしたようなモヤモヤが残るような、この読後感が大道さんだな。
2014/04/30
もりの
「二十代はおおむね、いつも誰かをぽうっと好きだったような気がする。誰かというより、過去に好きだったひとびとを思い返していた。積極的にすすんでいくことはなく、妄想だけだったのだ。」という一文がしっくりきた。
2024/10/28
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