水没ピアノ: 鏡創士がひきもどす犯罪 (講談社文庫 さ 87-3)
水没ピアノ: 鏡創士がひきもどす犯罪 (講談社文庫 さ 87-3) / 感想・レビュー
とら
鏡家サーガ第三弾。本当に毎回驚かせてくれるな佐藤さん!だって一応シリーズものなのに、毎巻毎巻全く違った作品を創り上げてくるから!共通してる部分といえば、ただ単に鏡家の人が登場してくるってことだけだろう。何より驚いたのは、構成。本の構成である。この水没ピアノで言えば、同時に三つの物語が進展する構成。これまた最後の収束の仕方が凄かった!”本格ミステリーなのに勝手にナニカがはみ出しちゃった小説”これ、めちゃくちゃ的を得てる。それと前二作を比べれば分かる。ファウスト系ね...なるほど。太田さんが好きなのかな自分w
2013/01/23
みっちゃん
よく知っている小さな町が舞台の本があると聞いて、作者の事もこのシリーズの事も全く知らないまま読み始めました。交互に現れる3つの違う視点〜共通して重苦しい空気の中で生きる〜がどのように重なり合うのか。第6章で全部ぐちゃぐちゃになったと思ったら、第7章で時系列、登場人物の認識がくるりと反転してしまいました。とても残酷な結末には鳥肌がたちました。まさに「ひきもどす犯罪」なのですね。狂気を併せ持った「鏡創士」という人物にも興味がわきました。シリーズ1作目から読んでみようと思います。
2012/12/11
いわし
愛に溢れた音楽が救いのない絶望の物語へと溶け込んだ、中村一義の音楽が重要な役割を果たす稀有な小説。作中に出てくる『太陽』は僕が知る限りもっとも温かく、そして優しいロック・アルバムだ。笑いたい日は友人を誘って、このアルバムをBGMに海に向かってドライブしよう。泣きたい夜は、ビールでも飲みながら部屋で独りこのアルバムを聴けばいい。世界を丸ごと肯定した衝撃作『金字塔』の次にリリースされた『太陽』は、どんな物語にでも寄り添ってくれる名盤だから。追伸:ねぇどうか、中村一義を好きなJKがいたら僕にもDMください。
2021/11/28
東京湾
自意識拗らせ系フリーター、監禁され贖罪の時を待つ一家、同級生を「奴」から守ろうとする少年。ミステリ―の皮を被ったとんでもないゲテモノだった。まず序盤に前述の三つの視点から展開されるそれぞれ陰鬱な語りから、一体何が起きているのかと困惑させられ、引き込まれ、読み進める内にその背景が露わとなり、やがて鏡創士の登場と共に認識は逆転し、複雑怪奇に入り組んだ三つの物語は解かれ収束する。メフィスト賞作家らしい癖の強さと凝った技巧。個人的には好きだ。「言葉だけで本質を伝達するのは不可能だ。触れ合わなくては何も通じない。」
2017/02/10
Koji Eguchi
初友哉。★☆☆。年末から読み始めたがページが進まない。観念的な文章と難解な比喩(笑)に全くついていけないのは私だけなのか。流石にラスト近くなりスピードは上がったが、3人の繋がりは意味不明だし結局なんだったん?ミステリー要素もあったが、それ以上に奇怪なストーリーとエンディングに頭がくらくらした。まぁこんな小説もあることがわかっただけでもよかったのかな。
2019/01/10
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