ザビエルの首 (講談社文庫 や 60-1)
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ザビエルの首 (講談社文庫 や 60-1) / 感想・レビュー
まこみん
ザビエルの首が鹿児島で発見され、ライターの修平は現地に赴き、ミイラ化したザビエルの目と視線が合ってしまう。その瞬間、彼の意識だけが450年程前にタイムスリップ。初めはザビエルの側近の意識下に留まり、戸惑う間もなく殺人事件に遭遇する。そこで彼の意識は解き放たれて、その身体を借りたまま冴えた推理を告げ、直後に現代に舞い戻る。そんな出来事が3回続き、しかも次第に時代が遡っていっていき、4回面はザビエルが8才の時のスペインとの悲惨な戦争時。「神の望まぬところ悪なし」彼が生前解けなかった謎が今明らかに。
2018/02/25
ehirano1
オドロオドロシイタイトルから一体何が語られるのだろうと興味深く読みましたが、なんと創造の斜め上でした。謎解きシーンは「名探偵コナンかよ?」と思いましたが、まさかの「ザビエルの旅」とは・・・やられました。また、宗教(というか哲学)における西洋vs.東洋はかなり楽しませてもらいました。
2017/05/13
ehirano1
薮中氏は“奇跡”は本来起きないからこそ“奇跡”であるはずなのに、人間は自分の目の前で起きたことが奇跡記であってほしいと願っている。そして奇跡を信じたいから信じる、と。だから人間とは実に不思議な生き物である、と。時と場合に依るとは思いますが、人間が何かを信じる場合、そこには理屈はない、否、必要ない場合もあるのでしょうね。上述のようなことも実際に存在しているということを認識し、認めてあげることも人間の業ではないかとも思いました。
2017/11/15
ehirano1
「ザビエルとはもともと城に与えられた名前であり、バスク語で「新しい家」を意味する(p299)」、と。こういう豆知識が得られるのも読書の醍醐味の一つであると当方はカウントしています。小さなことでも新しいことを知るのは楽しいです。
2018/06/16
セウテス
歴史上の偉人を名探偵とするシリーズの一つではあるのですが、本作は現代人のフリーライター片瀬が、ザビエルの時代にタイムスリップして殺人事件を推理するSFミステリーです。四つの短編からなり、最後に何故ザビエルに呼ばれるのか、明らかになってくる。しかし「黄金の灰」のシュリーマンと比べると設定もアイデアも脆弱であり、主人公のキャラも魅力を感じない。「ダイイングメッセージ」や「殺人事件」等、現代の言葉のやり取りで笑える会話も多々あるのだが、むしろ幡大介の作品の様にメタミスに徹した方が、楽しめたのではと思えてしまう。
2016/05/31
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