凍りのくじら (講談社文庫 つ 28-5)
凍りのくじら (講談社文庫 つ 28-5) / 感想・レビュー
遥かなる想い
辻村深月の本を読むのは初めてだが、若者の心理描写がうまい、と思った。主人公は理帆子という高校生。「本当に大切なものがなくなるとはどういうことなのか」 別所という人物を通して、見事に心理描写をしてくれている。また元彼の若尾の異常さも緊迫感ありの書き込みをしている。
2010/12/19
青乃108号
性差別と言われるかもしれないが、男の、オッサンの俺が読んで大丈夫な本なのか心配だった。全く問題なかった。魂を揺さぶられた。心に刺さった。妻子を置いていなくなる父親に、自分自身が重なった。【嫌だったら逃げてもいいんだよ】頑張った。やれるだけの事はやった。それでもどうしてもムリだったから、身も心もボロボロだったから、死ぬしかないと思い、俺は逃げた。運良く人に助けられ、死ななかった。だから今、こうして2番目の人生を生きる事が出来ている。今度こそは、もう、逃げないよ。2番目の家族を守って、これからも生きていくよ。
2022/04/11
寂しがり屋の狼さん
これはSF。「Sukoshi Fushigi」な物語。物語の前半…主人公の理帆子に共感できず読みづらさを感じたが、中盤以降…自然な感じで物語の世界に引き込まれていった。これは、物語の中にいつでも「ドラえもん」がいて、それほど詳しくない私でも出てくる道具を思い浮かべられ物語と繋がることができたからだと思う。「少し・不思議」な物語。「凍りのくじら」物語にも出てくるニュースと「親に捨てられた加害者と被害者」と言う言葉には胸が痛くなった。
2018/12/20
にいにい
仲のよかった父と生き別れ、母はなかなか本心では接しない。そんな環境で育った理帆子が、あれほど人物を観察出来るのに、人との関わりで自分を持て余し、逃げる。距離を置く。この屈折、誰にも少しはこうした気持ちあるだろうけど、読んでいて痛い。その傲慢さによって起こる事件。けれど、たくさんの暖かく強い光を見つけた理帆子に救われる!思っている以上に周りは自分のことを。終盤は結構ジーン。辻村さんの人物描写素敵だ。鋭い感性で、つながりの温かさ、大事さを考えさせる、ドラえもん愛な“Sukoshi Fushigi”物語。
2015/08/05
ちぃ~
ヾ(ー。ー; )、SF(少し不思議で、少し不憫)な物語。世界に拒むものはないのに、「少し不在」と自分の居場所を消す少女。でも、ドラえもんの道具に導かれて、温かさを知る。暗闇でも、こんなにも優しい光が溢れている。理帆子の不在感には共感もあり、胸が痛む。で、終盤は涙・゚゚ '゜(*/□\*) '゜゚゚・。2つ目の辻村作品、どんでん返し、人物の繊細な描き方は凄い。つながりの温かさ、大事さと共に前向きに進む幸せ~、ドラえもん愛な嬉しいファンタジー作品。お気に入りの本が増えました。
2015/09/13
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