昔日より (講談社文庫 も 33-8)
昔日より (講談社文庫 も 33-8) / 感想・レビュー
ぶんぶん
江戸時代、関が原から明治の幕開けまでを、年代を追って八編の短編で綴る作品集。 各編とも鮮烈に昔日を表している、生きとし生きる刹那的な生きざまに心打たれる。 人の想いとはその時々で変わるものだが、変わらぬ一文が確かにある。 諸田玲子が静かに淡々としかし、胸の奥底に宿る情熱を書き表した傑作である。
2015/02/22
あすか
江戸の始まりから終わりまでの様々な人々のお話。 世の中には理不尽なことが多すぎる。 切なくなったり腹が立ったり。 そのなかで唯一癒されたのは「子竜」かな。 何とも可愛くて!(こんなこと言ったら怒られそうだけど(笑)) やっぱり江戸時代はいいねー!
2020/03/10
たーくん
想い人を追って伊勢へ行きたい、という町娘の恋を手助けする、家康の元寵妾と配下の老忍を描いた「黄鷹」。裏切られた思いの息子に、一世一代の晴れ姿を見せる父親が眩しい「新天地」。たった一度、過ちを犯した武家の妻女の心の内が狂おしい「女犯」。江戸を舞台に、読後感が清冽なオブジェを象る傑作短編集。
2017/10/25
山内正
老人黃鷹が 六十ニの生涯を閉じたと蓮華院様の報せを 人の行末は分らぬものよと お梅の名の女が京へ移ったのが 代わりにとぎんと女が伊勢屋に 清雲院様が世話する女をと申し出 ぎんを側に 好きな多次郎がぎんを探して 関所で姿を消したと 新しい位牌を見せこの方は お梅と名で先日亡くなられた その夜多次郎がおぎんを探して 忍びこんだが 朝方捕吏一団が多次郎を捕まえた 黃鷹は阻もうと傷を負って戦った 役人に引取られ位牌が届く筈 黃鷹は途中から姿を消し 何処かで死んだのかと思ってたが 日が経ち生きて何処かで いる気が
2022/03/10
KT1123
江戸時代の黎明期から幕末までの各期、武士にまつわる短編集。戦国時代が終わって泰平の世になり、自分の身の置所がない江戸時代初期の忍びも不自由だなと思うけど、中期後期の役人的な存在になっているのに武を誇らねばならない武士もその妻子もなかなか不自由な存在。なのになぜ日本人のみならず外国の方も武士に憧れるんだよね^^; なんだかんだ言いつつ私もその一人かも。
2023/09/28
感想・レビューをもっと見る