文庫版 邪魅の雫 (講談社文庫 き 39-13)
文庫版 邪魅の雫 (講談社文庫 き 39-13) / 感想・レビュー
nobby
ばたばた人が死ぬ…其処も彼処にもと波及する毒殺、怪しい其奴が語るのは殺したのは彼奴の為…実菜に恵にと混乱極める人物把握や事柄の全く噛み合わない様はまるで出鱈目だが巫山戯てはいない…誰もが持つ邪悪を魅惑へと導く雫の脅威…「昔、或る処に〇〇と云う男が居ました」と語られる憑き物落としにゾクゾクしながら、因縁の迚も厭な男にまた結びつくのもスゴい!序盤では冗談の様に描かれていた榎木津の縁談が何とも切ない結末を呼ぶ…彼に辛い言葉を云わせたくなかったから此処に来たという想いにグッとくる…ラスト颯爽と下された罰には嘆息…
2020/10/12
ちょろこ
ラストシーンが好きの一冊。ややこしさからのシンプルさ、この一転が良かった。連続殺人事件の展開は正直、ややこしい。頭の中でどんどん絡まり始め、榎木津さんの縁談もどう関係してくるのか先が見えない不安も拡がった所にしずくが落とされた。その一滴が一気に絡まりをほぐし世界が一気にまとまった。無色透明のそのしずくの色がいくつもの色味を帯びていくのが良い。邪悪な黒、時には人を想うピンク、時には懐かしのセピア色に。榎木津さんの意外な思い出、相手のための突き放しというラストシーンが「狂骨の夢」と並ぶほど美しくて好き過ぎる。
2023/10/13
優希
今作は大磯・平塚を舞台にしたご当地モノ。江戸川と大磯で発見された毒殺死体。被害者と榎さんの意外な関係は驚きですね。今回のキーパーソンのような感じがします。2つの事件の繋がりを掴むべく独自の捜査をする青木くんや警察組織自体が捜査に行き詰まる中、やはり動き出すのは秋彦さん。関わる人たちの関係などにややこしさはあるものの、圧巻の憑物落としで全てが明かされる瞬間が気持ちいいですね。若干地味ではありますが、雫と毒を絡めた綺麗な作品だと感じました。
2017/05/30
とも
今年の夏は、京極夏彦の世界にどっぷり浸かった。 梅雨明け前7月中旬から姑獲鳥の夏を読み始め、邪魅の雫まで9作品を夏の終わりまでに読みきった。 邪魅の雫もとても面白かった。いつもながら分厚さを感じさせない、あっという間の読了だった。 今昔百鬼拾遺も読みたくなって、すぐ本屋に走った。
2021/08/23
ゆいまある
人は誰しも物事を正確に捉えることなどできない。客観的だと思っていることも総て主観に過ぎない。間違った思い込みに基づいて殺人の連鎖が起きる。多くの文章が人の思念で埋められているので、それが気持ちよく感じられる箇所もあるけど大幅に無駄。盛り上がりに乏しく永遠に読み終わらないかと思った。榎木津に持ち上がった縁談と、それを妨害する人。登場人物が物凄く多くて、更に偽名まで使うのでかなり後半まで自分が何を読んでるのか分からない。これはエンタメというより作者の自己満足なんじゃないか。と、言いつつまだ読みます。
2020/03/15
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