フィルム (講談社文庫 こ 75-1)
フィルム (講談社文庫 こ 75-1) / 感想・レビュー
ちょろこ
気づきの一冊。前から気になっていた小山さんの小説、良かった。10篇に共通するのは"気づき"、そして新たな時間、世界かな。一話目からふわっとした読後感を味わい、次の表題作「フィルム」で真綿のようなふわっとした温かさに包まれた。過去を噛み締めながら生きているつもりでも、忘れがちなことって多々溢れている。忙しさを言い訳にせず時に立ち止まってゆっくり過去をおさらいして、忘れていたことをしっかり心に刻む、フィルムに残すかのような作業は大切なことかも。心に温かさがドリップされていくような時間を味わえた珠玉の短編集。
2021/10/06
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
『恋する日本語』を読んでから、小山さんの小説をずっと読みたくて念願がかなった1冊。本書は10の短編集。すべて男性が主人公で、人生のワンシーンを切り取ったもの。小山さんは、放送作家であり、クマモンをプロデュースした人なのでオシャレで都会的な作品が多かった。親子の確執がフィルムを現像したたった1枚の写真によって雪解けのようにとけていく表題作の「フィルム」と誕生日に素敵なサプライズが待っていた「セレンディップの奇跡」が特に良かった。
2021/09/20
Take@磨穿鉄靴
小山薫堂氏は初かな。短編集。いまひとつな話が続き期待が無くなったあたりで「青山クロッシング」。会話の通じない彼女はキツいね。デュラムセモリナ粉??やかましいわってなりそう。話は少し面白かった。最後の「ラブイズ…」は最高に洒落てた。粋な老婆。センスのある会話。この話のおかげで読んで良かったと思えた。★★★☆☆
2019/05/29
kishikan
映画おくりびとの脚本や料理の鉄人などを手掛けた脚本・放送作家の小山薫堂さん。薫堂さんは京都の老舗「下鴨茶寮」の社長でもある多彩な方。僕はNHKドラマにもなった「恋する日本語」が大のお気に入りだったので、先日本屋でこの本を見つけ躊躇せず手にしたのでした。260頁の中に10のお話。短編というよりショートショートですが、そこはさすがです。語りかけるような、そしてほわっと光り輝く文章に魅せられます。誰もが一度は夢見る世界。多分本のような経験はないのでしょうが、古いフィルムの一シーンを見ているような気分になります。
2013/10/12
くろうさぎ
紙の本が手に入らなかったので電子書籍で読了。誰の人生にもある、ふとした瞬間から思わぬ物語が紡がれていく短編集でした。表題作の「フィルム」と「タワシタ」、「ラブ・イズ…」などは好きでしたが、「セレンディップの奇跡」は、サプライズを仕掛ける側は楽しかったかもしれないけれど、仕掛けられた側が気持ちを弄ばれたような感じがして、ちょっと興ざめでした。
2021/10/16
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