下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫 う 58-1)
下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫 う 58-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
日本の子どもたちのほとんどは、学校で学ぶことを「権利」ではなく、「義務」だと捉えているという。その権利を持っていない子どもたちが世界にはたくさんいるのだが。義務であるから対価を要求し、それが私語や授業を聞かないという形で彼らが受け取る対価であると内田樹は分析する。また、リスク社会にあって、若者たちはそこからドロップアウトしてゆく(彼らにすれば「わざとした」と意識しているのだが)。また学業成績の悪いことは「価値」であるとの転倒もすでに起こっているようだ。内田の分析が的確なだけに読者は深く憂慮することになる。
2018/11/02
ミカママ
面白かった。昔より学力の落ちている大学生たち。今や日本は大学全入なのね。大学の方で魅力をアピールして、入学していただく時代ですもんね。「労働主体」ではなく「消費主体」で就学前に既に自己を確立している子どもたち。高学歴な親や、上層階級の家庭が子どもに与えているものは「能力」だけではなく「努力する動機付け(空気感)」。わかっていたことだけど、活字で読まされるとインパクト強い。日本では学生に求められるものが画一的すぎるような。ドイツやアメリカみたいに、あっちがダメならこっちで能力伸ばす的な教育も見直すべきでは?
2015/04/09
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
2007年の本だからいわゆる「ゆとり教育」が問題になっていたころか?そんな制度的なことよりも、もっと根本的な問題だと作者は指摘する。子供たちの「何のために勉強するのか?」「この知識は何の役に立つのか?」そんな質問は愚問であり、回答する必要はないと作者は言う。本来勉強とはそんなものではないはずだが、学ぶこと自体に「価値の等価交換」を求める若者。その一端は最初の社会参加が「奉仕」(お手伝い)であったか、「消費」(買い物)であったかに起因するという。やや極端な論理でもあるが、かなりの部分で納得できる。★★★★
2013/09/05
あすなろ
学びと労働からの逃走が始まっている。そして試験平均点が年に一点ずつ低下し、その年のみの偏差値判断で終わってしまっている。そんな20年超の状況を産んだ要因は何か?強い早期の社会的承認、即ち経済的価値衡量ではないかと著者は言う。産まれてすぐからの消費行動の全能感に支配され、その連鎖で、速やかな教育の回収価値軸等が叫ばれる。そんな簡潔なことは教育も社会もないという。その通りである。諸々考えながら興味深く読了。確かにいろいろな議論を呼ぶだろう本であり、そして提議ある一冊。
2019/09/17
みゃーこ
共感するところゼロ。この人と話すことがもしあったら喧嘩やな…。ないからいいけど。読むのだるかった。
2013/02/26
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