新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫 む 3-30)
新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫 む 3-30) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
スゴい…、スゴすぎる…。とにかく何から何まで‘圧巻’としかいいようのない作品でした。面白い、面白くない、好き、嫌いなど、ただ単純に二分化する評価や感想では全く納まらないと思われます。しいていえば、好きな人は好きで、ココロがシビれ、苦手な人はまず読み進めるのが、かなり困難だろうと。ジャンルもスケールも全てが規格外のこの作品を30年以上も前に書いていた作者さんにはただ、ひたすらひれ伏すばかりです。中盤までは何度も屈しそうになりましたが、凄まじすぎる『狂気』の世界へ、どんどん誘われ、我を忘れてしまう作品でした。
2015/11/19
風眠
むかーし、若い頃に読んだとき、途中で挫折した本。読書経験を積み重ね、わりと色々なものに挑戦できるようになった今なら読めるかもしれない・・・と思い再挑戦。なかなかに苦戦したけれど、とりあえず最後まで読み終えることができた。ファンタジーとバイオレンスが交錯する舞台設定、コインロッカーに捨てられ生き延びた二人の少年。暴力や歌にすがらなければ、生きる意義が分からなくなるという二人の不安定な心。コインロッカーに帰りたいという強烈な回帰願望と、無意識、意識、アイデンティティー、心のあやふやさについて考えさせられた。
2015/08/16
テンちゃん
『人生は鍵のない閉ざされたコインロッカーの中のようで出口がない!』『心の中で何度叫んでも四方八方壁で塞がれている!』『生まれた時から孤独を味わい!奥深く心の底で溺れている!』『親として子に愛情を注いでこそ子は生きる希望を見い出す!』⇨2人の主人公「( ̄ヘ ̄「キク」と「ハシ」∑(◎◎ノ)ノ「破壊」と「繊細」⇨「感情!」(☆`Д´)「爆発!」⇨『開かれることのない道❢』『幸せとは何か❢』『生きることの意味❢』⇨『コインロッカーに始まり!コインロッカーのような皮肉な人生を歩む❢』傑作作品。☆(⊙.⊙)4.5
2016/02/19
Willie the Wildcat
閉鎖性からの脱却。破壊ではなく再生。内外どちらからの作用により”扉”を開くかの苦闘。癒しともなる繋がりは”鼓動”。(暴力は決して肯定できないが)もがき苦しむ中で、道を切り拓こうとする登場人物の行動力がカギ。変化と不変の自問自答も印象的。自他の観点に加えた必要性。象徴がハシとミルクの再会の場面かもしれない。ダチュラである必要は必ずしも無く、生きるエネルギー。±に揺れる中でのプラスの上積み。蛇足ですが、Webで「大学新入生に推薦」されている主旨が読めないなぁ。(汗)
2016/01/22
のっち♬
コインロッカーで生まれたキクとハシの人生、社会を憎む彼らのエネルギーは全く別の方向へ向かう。暴力と狂気を孕んだ退廃的な舞台を鮮烈に描いており、改行を控えて台詞と描写が時に一体となる文章は迫真性があって映像的。世界の破壊を希求するキク、内向的なハシ、純真で強気なアネモネなど個性豊かな人物が織りなすスリリングなストーリーは圧倒的な生命力と疾走感に満ち、読後は清々しさと高揚感に包まれる。「生きろ、そう叫びながら、心臓はビートを刻んでいる」—聞こえるかい?社会に囚われた私たちもまた、コインロッカー・ベイビーズだ。
2020/06/12
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