絲的メイソウ (講談社文庫 い 113-3)
絲的メイソウ (講談社文庫 い 113-3) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
絲山秋子さんの最初のエッセイ集らしいのだが、冒頭の「絲山の由来」あたりはまだ大人しいものの、しだいに本領を発揮。絲山節が炸裂する。タイトルの「メイソウ」は「瞑想」ではなくて、やはり「迷走」なのだろう。部類の禿好きにはじまり、数々のカミングアウトあり。全編これ自由奔放に生きているようにも見えるが、実は内向的で繊細な側面も仄見えたりもする。東京を離れ高崎に住んでいることからも彼女の孤高ぶりがわかるが、あくまでも文壇とは無縁のところで独自の小説を書き続けて欲しいものだ。恋に恵まれなくても、あなたには小説がある。
2015/06/23
じいじ
基本的にエッセイは、何人かの作家以外は読まないことにしている。偶々、衝動買いしたこのエッセイは、久々に腹を抱えて笑った。素の絲山さん(以下、親しみを込めて絲さんと称す)が、こんなにも愉しい人柄だったとは、小説からはとても想像できなかった。「ハゲは素敵!」と禿礼賛する絲さんが好きになりました。そして「年中せっかち」という絲さんに、未だにせっかちの性分が治らない自分と重なり、親近感を抱きます。そんな絲さんが「納豆が大嫌い」と、真っ向から納豆愛好家に歯向かってきます。とにかく理屈抜きで面白いエッセイです。
2022/02/14
キムチ
表紙が凄い・・エジプト文様かと思った。絲山氏、感情に任せてどぱぁ~っと語るかと思えば、襟を正して淡々と語る。ある時は男を語り(笠智衆を好きとのたもうてけむに巻くとこはおんなじだ!)禿を礼賛し、酒飲み論を語り、付き合っていた男から言われた寝言の話を語り・・ホントに迷走。時に瞑想。男らしいと思えばおんなも見え隠れする。私、基本、エッセーは好きじゃないので読まない。人がどう思うと興味ないねwだったけれど、絲山作品の深淵を除く望遠鏡代わりにと思って読むと、その振幅の広さを理解できたツールとなりうる一冊だった。
2015/06/22
鱒子
著者初読み。サバサバ かつ 小気味の良い毒舌。ご本人のおっしゃる通り「悪態寸前の優れた切れ味(p139)」が冴え渡ります。群馬の 高崎市と前橋市の不仲なんてよく分かんないなぁーーと思っていたら、佐賀市と唐津市という例えに変換されて大爆笑!笑い転げる本でした!絲山さんのエッセイ、もっと読みたい!
2018/05/07
ホークス
「逃亡くそたわけ」が突き抜けた感じがで良かったのでエッセイを読んだら、本人も突き抜けていた。ややこしい話には「ケッ」と言う潔さ。営業経験のお陰か、罵倒とか捨てゼリフが板に付いている。電車の乗客は「ガキが!足閉じて座れ!」「どけよ社畜」「てめーに言われたかねえや、この昼行灯が」と思っているとか。結構何でも自分の事を書いちゃうのも心配ながら面白い。子供の頃親に「犬は死ぬと悲しいから飼っちゃダメ」と言われて「お母さんだって死ぬじゃない」と答えて叱られたり。男関係の話も中々深い、と思うのは自分が野暮なだけか。
2018/04/17
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