愛でもない青春でもない旅立たない (講談社文庫 ま 65-1)
愛でもない青春でもない旅立たない (講談社文庫 ま 65-1) / 感想・レビュー
巨峰
作者の処女作にして男子大学生が主人公の(青春でもないとタイトルに書いてあるけど、)青春小説。あるあると思ってしまいました。まあおいらよりは、この主人公はもてますがね・・・現実と脳内の境界とミックス具合があいまいで、まあでも実際はそんなもんかもしれないねー。最後の美術館の個展の描写は凄かった。でも、こんな展示ひとりでつくれるんだろうかなぁ・・・
2019/01/25
とら
前田司郎さんの処女作。めちゃくちゃ大好きな世界観、文章であった。これいつから読みたい本に登録してあったっけ…?ってほど前から読みたかったので念願、というか期待値はMAXだったけれど、そんなもんは軽く吹き飛ばしてくれた。そして気付いた。前田さん、劇作家だって言うじゃないか。で、芥川賞を狙える位置にいる小説家さん。これは大好きな本谷有希子さんも同じで、だから結局、劇作家育ちの小説家というものが好きなんだとついに発見した。というかもう、それなら戯曲を読めば良いんだと思った。また新たな世界を開くことが出来た。
2013/11/05
東京湾
「僕が世界から遅れ始めているようだ。僕は小走りに世界に追いすがるしかないのか、このまま一人で歩くのか」タイトルが実に秀逸。モラトリアムの中でうだうだと仕様もない思考をこねくり回し、淡々と過ぎ行く時間の中で生産性のない営みを送る、あるがままの大学生の姿が実に巧みに描かれていた。何やってんだろう自分と思いながらその現状を変えようと一念発起するわけでもなくただぼんやりと日々を生きるというリアル。その折々に挟まれる不思議な夢。終盤の流れは現実が空っぽなあまり夢が流入して来たのかなと思った。色々な考察もできる良作。
2018/01/05
ミツ
凄いな…。今まで読んだ前田司郎の著作の中では一番好き。というかこれが処女作なのか。 大学行って講義サボってバイトして酒飲んでセックスして寝る、何のことはない普通の生活を送る自分をどこか醒めた視線で分析し相対化しながらも、不安や焦燥、諦めを感じている主人公の感情はとても良く理解できる。 現実と地続きな白昼夢の幻想描写も秀逸で初期の村上龍を思わせる。 かといって重苦しい圧迫感はまるでなくユーモアセンス(主に下ネタだが)は抜群で何度も爆笑してしまった。傑作。
2010/04/03
adari
「ずっと安全な場所なんてないから、今安全だと思う場所に逃げ続けていればいいだけ」大学生の主人公が愛でもない青春でもない日々を送るだけの話。タイトルが秀逸。お母さんお話しての合図だのクダリが面白かった
2014/11/14
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