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西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫 た 116-1)

西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫 た 116-1)

西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫 た 116-1)

作家
高野秀行
出版社
講談社
発売日
2009-11-13
ISBN
9784062765015
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西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫 た 116-1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

成都から昆明、瑞麗を経て、ミャンマーのジャングルの中を縦断し、インドのナガランド州からカルカッタへと、西南シルクロードをたどる4か月におよぶ苦難の旅。そもそも西南シルクロードはほんとうに実在したのか。本書を読むとどうやらそれも限りなくあやふやだ。ご本人もエピローグで語るように「学術的な成果はゼロ」なのだろう。それでも、この地を踏破し、カチン、ナガの実相を確かに見たことの価値は大きい。およそ他の誰にも真似のできないことだろう。まさに波乱万丈の旅であり、カルカッタまでたどり着けたこと自体がほとんど奇跡的。

2020/07/04

のっち♬

西南シルクロードの陸路を全て踏破したいと2002年成都へ降り立った著者。象に乗りジャングルを行く道中は、"道"よりも"地域"に近い様相を呈する。早速全財産を盗まれ、取り調べでシュールな茶番を繰り広げ、内部対立の渦中にいたりと鬱も吹っ飛ぶ事態ばかり起こっても結局カルカッタから帰国するのは凄い。人物描写も濃厚で、アヘン、内輪揉め、精霊信仰とキリスト教などの文化の本音と建前を鮮やかに活写する手腕もアヘン王国より成長していると感じた。シルクロードは密林へ消えたが、交易品的にリレーで運ばれる高野ロードは充実の一言。

2024/06/12

読特

芒市のホテルでの盗難、盈江での警察署への連行。波乱万丈の出発。ジャングルを行く。眠ると落ちるゾウの上、崩れて落ちる竹の橋、くっついて離れぬヒルの襲来、眠りを覚ます胃痙攣。矢継ぎ早に訪れる危機に、”ハラハラ”も”ドキドキ”も感じない。助かるのはわかっている。”面白く”、”おかしく”は楽しめる。二進も三進も行かない禍は、期が熟したら何故か向こうから消えてくれる。だが、これは創作ではなく紛れもない事実。インドへの不正入国をお咎めなしで帰れたのは運以外の何物でもない。読者がこうして作品を味わえることは奇跡である。

2023/12/30

Kajitt22

20年前、中国成都から国境を越えミャンマー北部横断の冒険紀行ドキュメンタリー。分厚い本ながら、特にカチン、ナガの道無き道の踏破は読み応えがあった。地勢や気候の描写も臨場感があるが、多民族国家ミャンマーの人々とのやりとりがいとおかしい。近年のロヒンギャ問題に対する、アウンサンスーチーさんのにえきらない態度もこれを読んで理解できた気もする。ミャンマーに幸多かれと思う。

2020/10/13

HoneyBear

軽いノリではじまるけれどすごく濃い探検記だった。Google Earthや映像などでバーチャルに訪ねることが出来ない地域を紹介してくれたことに素直に感謝。命がけの場面も多かったのだろう。現地の人々が語る言葉に時々はっとさせられた。例えばナガ・ゲリラの独裁者候補クガル。「**人は死は怖れないが貧は怖れる」という成句に対して「貧を怖れるということは金になれば何でもやるということだろう。そこにはモラルは生まれない。そして、モラルを持たない人間は集団として決して成功しない。」と。この卓見はどこから来たのだろう。

2015/10/20

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