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ハヅキさんのこと (講談社文庫 か 113-1)

ハヅキさんのこと (講談社文庫 か 113-1)

ハヅキさんのこと (講談社文庫 か 113-1)

作家
川上弘美
出版社
講談社
発売日
2009-11-13
ISBN
9784062765060
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ハヅキさんのこと (講談社文庫 か 113-1) / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

久しぶりの川上さん作品で、1編あたり10頁くらいで書かれている短編集で、読みやすさはピカイチでした。内容も26編からなので、本当に多彩で飽きることなくイッキにスラスラと読むコトができます。僅か10頁ちょっとの中にこんなにもステキな雰囲気の作品を、多数書きつづるコトのできる作者さんにひたすら脱帽です。全体のボリュームとしても200頁ちょっとなので、読む側もかまえるコトなくスンナリとその世界観にはいっていくコトができ、最後まで十二分にゆったり&ふんわりでステキな川上さんワールドを堪能できるコト間違いなしです。

2015/09/24

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

ゆるやかにたゆたっていて、心地よくてうとうとするような。夏の暑いひにクーラーで快適にされた部屋のなかからガラス越しに炎天下をみる。遠くに聞こえる蝉の音。あしはつめたい。しずかな気持ちで快く読んでいたらいつの間にか終わってしまった、おわってしまった。たくさんの話たちも、もう忘れてしまった、わすれてしまった。心に残っている私のなかに寄り添う文章たちがあったこと、記憶じゃないところで覚えているような気持ち。

2020/08/03

ヴェネツィア

この作品を読むと、川上弘美さんは掌編小説の名手でもあるのだなと思う。彼女がこの分野において殊に巧みなのは、個々の小説が、直接には書かれていない時間と空間とを内包し、遥かな拡がりを持っていることだ。例えば「ストライク」は、わずか8頁しかないのだが、猫のミーを媒介に2人が暮らした5年間がその回想の中に浮かび上がってくる。表題作の「ハヅキさんのこと」にしても、15年前のハヅキさんと「わたし」、そして現在時の「わたし」とハヅキさんを一気に現出させて見せるのだから。解説の柴田元幸は、そこに死の影までを見るのである。

2013/02/19

nico🐬波待ち中

やっぱり私、川上弘美さんのショートショート好きだな、と確信した一冊。静かで穏やかな雰囲気を纏った世界観。この世界観はクセになって、もっともっと読みたくなる。ほんわかした気持ちになったと思えば、ドキッとしたり切なくなったり、どうしようもなく泣きたくなったり。どの物語もとても短くてあっという間に終わってしまうのに、感情をじわりじわりと揺さぶってくる。特に『ストライク』『浮く』『ネオンサイン』『誤解』『かすみ草』が好き。後半の物語は川上さんのエッセイじみたものらしい。川上さんの日常をのぞき見できたようで嬉しい。

2020/08/14

おくちゃん🍎柳緑花紅

お出掛けの時に地下鉄の中で読む本としていつもバックに入れていた。頁を開くと同時にどこかのドアが空いて私を招き入れる。霞?霧?白く漂う何かではっきりとは見えないけれど、小さな引き出しがたくさんある。直ぐ目の前の引き出しをソッと開けてみる。日常のさりげない一瞬を切り取ったような写真が1枚。優しい声でこれはね、と話しかけられて聞き入る。小さな引き出しの1枚の写真が広く広く広がっていく。そんな繰り返しを楽しんだ。川上弘美さん、大好きです。かすみ草、ハヅキさんのこと、吸う、水かまきり、挙げればきりがない。

2018/01/31

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