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不恰好な朝の馬 (講談社文庫 い 102-2)

不恰好な朝の馬 (講談社文庫 い 102-2)

不恰好な朝の馬 (講談社文庫 い 102-2)

作家
井上荒野
出版社
講談社
発売日
2011-03-15
ISBN
9784062765206
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不恰好な朝の馬 (講談社文庫 い 102-2) / 感想・レビュー

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じいじ

「あなたと別れるわ」と、不実な夫に離婚を迫る妻―表題作から始まる連作短篇集。舞台は、とある郊外の団地と近くの喫茶店。結婚を目前にして女とトンズラをする男。浮気癖から抜けられない舞台演出家。妻子持ちの教師と火遊びに暮れる女子中学生…等々。理解不能、共感できない男と女が次々に登場する。こんな不穏な連中を巧みに操って、読み手を引き込む小説に仕立てる井上荒野の筆の技はお見事です。所々に笑みがこぼれる場面まで拵えて…。

2018/02/09

なゆ

7つの話を繋ぐものは、団地とそのそばの小さな喫茶店「ちさ」。そこで繰り広げられる不穏な人間関係。それぞれの話から、ゆっくりと関係性が繋がっていくところに引き込まれた。なんかちょっとギクシャクした日常の中に潜む可笑しみ、とでも言うのかな。「ちさ」の女店主もワケありげなら集う客たちも意味ありげで、だからといって暗くもなく、どこか淡々と暮らしている。やっば好きだなぁ、この味わい。最後の話『初夏のペリメニ』が小気味よくて◎。小さな爆弾を仕掛けたみたいでワクワク★ロシアの水餃子ペリメニがやけに美味しそう。

2019/03/14

巨峰

私たちはお互いのことをある一部分しかしらなくて、それでいて、わかり合ったり、仲良くなったり、別れてきたりしている。優れた余白の多い連作小説をよむと、滲みてくるみたいです。

2020/02/02

shizuka

荒野さん流「愛」のかたちを描いた連作短編集。一軒の喫茶店を中心に、関わりなく集う人々の物語。人と人は薄く繋がっていて、少なからずとも影響しあっていることが分かる。その認識はなくとも。早熟な中学生と教師の恋愛、中学生が大人すぎてちょっと痛々しい。けれど後半その教師と縁を切ったあとの彼女の笑い声が響く店内の様子に、彼女本来の天真爛漫さが写し出されているようで安心する。喫茶店の女主人が幸せを掴めたのが個人的には一番嬉しかった。彼女の相手にチャラくとも純真さを持ち合わせている男性を選んだ荒野さんのセンス、いいね。

2018/02/10

James Hayashi

連作短編とあるが、ストーリー的には強いつながりは感じられない。同じエリアに住む人々の、少しウラのある生活。離婚や生徒と性交する教師、不倫などイマドキな感じだが、期待した最後の盛り上がりもなく、まとまりのない終わり方。短編としては面白いのだが、取ってつけたような7章はちと残念。

2019/08/23

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