江戸風狂伝 (講談社文庫 き 26-12)
江戸風狂伝 (講談社文庫 き 26-12) / 感想・レビュー
真理そら
再読。「あやまち」(池大雅夫妻の話)と「臆病者」(歌川国芳の話)を読み直したくて読んだ。「やがて哀しき」は「ぬしと寝ようか~」のモデルになった藤枝外記と遊女・綾衣の話。
2019/02/23
ソーダポップ
読む前に予想していたよりずっとよい短編集だった。北原亞以子さんが、これまで書いておられた、境地から抜け出たという印象を持った。たんなる人情話からもっと奥行き深い短編を描かれておられた。七篇からなる短編集。そのいずれにも、そのおかしみと哀しみ、キレの良さを感じた。江戸の意地を貫き通す粋人たち。将軍綱吉に伊達比べを挑む商家の女主、世間離れした画商の夫婦、平賀源内など。拍手喝采したいような登場人物たちで、休日にゆっくり読むにはぴったり、という気分で満足感に浸れました。
2024/02/27
サンディK32
御大にして心の師匠、北原亞以子氏の異聞風狂伝。全編に渡り切なさが滲み出続け、気の効いた言葉一つも浮かばないが、武士も百姓も町人も生きていくのに粋だの通だの風流だのは常とは掛け離れた望外なものな気がする。国芳は根っからの画家だし、外記は拠り所のない鬱屈した孤独人。馬場文耕は… 金森騒動、所謂郡上一揆がその後の田沼時代のきっかけとなる事を思えば、講釈自体に江戸期の文化、施政に対する重要度を感じる。北原氏は、やはり優れた稀少な方であった。
2016/08/29
HH2020
◎ いやー、面白かった。旅のお供に何気なく選んだ本だったが予想を超える収穫。江戸の世を風狂に生きた商人やお武家や浮世絵師や講釈師らを描いた七つの短編集で、どの話もひねりが効いている。思ったとおりの落ちで終わらないのはいかにも風狂人らしいところだ。彼らの生きざまはどれも胸を熱くしてくれる。「伊達くらべ」「憚りながら日本一」「いのちがけ」がとくによかったかな。北原亞以子は初読みの作家だが時代小説の大御所とは知らなかった。
2021/01/22
金目
講釈師が出てくる小説と聞いて購入。江戸の「風狂」な人々を描いた短編集で、講釈師は「いのちがけ」の馬場文耕。美濃国郡上藩の金森騒動を取り上げて連続読みにした結果、獄死する。頭も良く金もあり好きな女もいる。しかし、不正を許せず、直に触れた百姓達の思いを語らずにはいられなかった芸人の業。痛烈な風刺画を描いた「臆病者」の歌川国芳も良かった
2018/11/19
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