蝶花嬉遊図 (講談社文庫 た 2-43)
蝶花嬉遊図 (講談社文庫 た 2-43) / 感想・レビュー
優希
胸がキュッとなるような感じがしました。成功している仕事を捨て、妻子ある男・レオとの恋愛を楽しむモリ。レオがいれば、おしゃべりもご飯も楽しく、美味しくてまるで夢物語のようでした。至福に浸る時間は永遠なのかと思うと、幸福は永遠に続くのか考えてしまいます。この人さえいればいいと思い込み、染まっていくのは本当の自分を捨てることではないかと。恋の甘さは素敵だけれど、そこから冷める瞬間がとても切なかったです。価値観に染まる間にだけ見られる心地よさがあるだけに。
2016/02/15
June
田辺聖子さんの描く女性は明るくてユーモラスで、どこかやっぱり聡明で強さを秘めてる。自分と重なるわけではないのに、とても親近感が湧く。登場人物は人間のカッコ悪い所や弱さも出てくるけれど、なんかお茶目でそれもステキと思わせる。恋人同士の甘さはずっとは続かない。美味しいものを二人そろって美味しいと感じ、二人そろって「美味しいね」と言い合えること、単純なことだけれども、きっとそれが至福。角田光代さんの解説も素敵。確かに若い時に読んでも理解しきれない複雑な未知の領分を含んでいる。
2014/12/15
あこ
角田光代さんの『ポケットに物語を入れて』で紹介されていた本。私の気がそぞろなのか、合わないのか、半分過ぎても入り込めなくて途中で断念しました。また機会をみて再読してみたいです。(図書館)
2017/07/07
kiriko
好きな人ができ、その人の価値観に染まっていく心地よさ。そして一度ふとさめてしまうとすべての景色が変わっていく感じ。そのまま終わっていく恋もあるし、夫婦であればそれも過ぎ去ってまた違う感情になっていくんかな。子供の頃母の本棚にあった田辺聖子先生の本。読んでみてもあまり意味が分からなかった。それ以来読んだけれど、とても艶やかに感じた。
2013/04/01
fleur
人は、どうして自ら幸せから抜け出てしまうんだろう。どうして、幸せの形はずっと一緒じゃないんだろう。モリは幸せの絶頂にいて、それが永遠に続くかのように見えたけれど、ラストから想像するに、モリは幸せを放棄するのだろう。でもそれが、その時点の彼女の幸せなのだ。そして、私達は実体験としてそのことを知っている。
2010/04/27
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