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均ちゃんの失踪 (講談社文庫 な 70-3)

均ちゃんの失踪 (講談社文庫 な 70-3)

均ちゃんの失踪 (講談社文庫 な 70-3)

作家
中島京子
出版社
講談社
発売日
2010-02-13
ISBN
9784062765862
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均ちゃんの失踪 (講談社文庫 な 70-3) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

高野秀行が『辺境の旅はゾウに限る』の書評欄で絶賛していたので読んでみることに。本書の解説も彼が書いている。いずこへともなく失踪した均ちゃんが一向に現れないので、ベケットの『ゴドー』や朝井リョウの『桐島、部活…』のように主人公が不在のままに展開する物語かと思われたが、そうではなかった。小説としては、あるいは登場しない方がよかったかも知れない。薫、空穂、景子の奇妙な関係性が、独特の間合いで滑稽な空間を作り出している。景子の大阪弁のせいもあってか、織田作之助の『夫婦善哉』を想起させたりもする。

2020/09/30

ゆいまある

単身生活を送っていた男の家に泥棒が入った。ところが住人である男が行方不明。それで男と繋がりのある女が集められたのだが、何故かそれが3人。そう、いなくなったのは寂しい女を見ると慰めずにいられない男、均ちゃん。奇妙な縁で知り合った女3人のその後をコミカルに書く。英語仏語が普通に入るナカキョー作品だが、今回は何故か延々関西弁を喋るキャラがおり、且つ男のダメっぷりが際立っており、間延びした町田康みたいな文体(真似てる気がしてならない)。空穂の既婚彼氏の狡さがリアルで人生経験豊富な大人の喜劇。軽く読める。

2020/08/23

いたろう

本人行方不明のまま、その家に入った泥棒の捜査のため、警察に集められた、元妻、今の恋人、遊び相手というかパートタイムの愛人(?)の、年齢も職業もバラバラの3人の女性たち。そして、その時が初対面なのに、いがみ合うどころか、何故だか、その後、その3人+1で、箱根旅行に行くことになるという可笑しさ。行方不明の均ちゃんが不在のまま、小説は、3人それぞれの物語に進んでいく。均ちゃんは、一体どこに行ってしまったのか。その均ちゃんがようやく登場するのは、もう小説も終盤。女にだらしないのに憎めない、均ちゃんのキャラがいい。

2021/04/02

ぶんこ

春先になると気力を無くす均ちゃんが行方不明の家へ泥棒が入り、警察の事情聴取で知り合った3人の女性。元妻の景子、不倫中の隙間恋人空穂、恋人同士だと思っていた薫。解説の高野さんが書かれているように、文章が綺麗なので修羅場にならずサラッと読めます。高野さんは均ちゃんをカッコイイと書かれてますが、男性にはカッコイイと見えるのでしょうか。景子さんの潔さ、再婚にやったね〜と拍手。空穂さんも不倫相手や均ちゃんを置いてパリへ旅立ち天晴れ。薫さんも均ちゃんの身勝手さ幼さに見切りをつけられました。読後感は爽快。

2016/08/02

shizuka

均ちゃんはやっぱ「平均」の「均」なのかな。このふわふわした「均」ちゃんに振り回されているんだか、振り回しているんだか、4人の女性の物語。みんな似ているようで似ていない。一番一般的な感じは片桐さんかな。恋したらそういう感情に悩まされるのはごくごく普通だ。突然消えたと思ったら、実は他にも女がいることが分かってとかさ。混乱するわ。ただ他の女性が一風変わっているのでどろ沼にならず、逆に親睦を深めていくのがいい。こんな出会いは面白い。空穂さんがキャラとしては好み。最後、均ちゃん一人になっちゃった。味わい深い、実に。

2017/05/13

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