年に一度、の二人 (講談社文庫 な 65-3)
年に一度、の二人 (講談社文庫 な 65-3) / 感想・レビュー
ミカママ
「年に一度」と聞いて、すぐに思うのが「織姫と彦星」であろう。子どもながらに、なんて酷(むご)い、哀しい恋人たちだろうと感じたものだ。閑話休題、今作は香港舞台に馬をモチーフにした三つのカップルの物語を、最後緩やかにまとめ上げる…という凝った構成に仕上がっている。個人的には沙和子と門倉だけに焦点を当てて欲しかったが。解説の齋藤薫さんの「女にとっての一年」に関しての考察が秀逸。そして織姫と彦星も、コロナで恒例の逢瀬すら阻まれているのかな、などと要らぬ心配をしつつ作品を閉じた。
2021/06/05
じいじ
夫にこれと言って不満はない。子供の父としても悪くない。充分な生活費も、家の中のことは任せてくれる。不自由なことはないのだが…。でも、何かが足りないのだ。何か満たされない。そんな女が恋に落ちたら…。香港を舞台に繰り広げられる三篇の男と女の物語が、香港で終結する。まさに永井するみらしい演出で、愉しめた。私としては、これは連作三部作にしないで、はじめの大人の恋愛劇に絞って、長編小説として読みたかった。
2020/11/04
hope
「一年に一度」という迷宮。旅先の香港で出会い、一年後の同じ時同じ場所で会う約束をした男女。お互いに連絡先も知らずに、会えない時間に募る想いと、ただ待つだけの不安。繰り返す日常の中、感情だけが熟成してしまう。果たして彼は来るのか、私は行くのか。選択するのは自分自身。 「行ってみなければ、わからないよ」
2020/01/16
KAN
少し思っていたストーリーではなかったです。嫌いでもなければ好きでもない作品でした。分からなくもないけど、ずるいかな。
2016/10/23
hiichi
香港、競馬場、一年に一度しか会わない男女が数組。違うストーリーが、最後で見事に絡み合う展開に脱帽。永井さん、女心の繊細な描写、天才的!!もう亡くなられてるのが、ほんとに残念です。
2013/05/07
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