憂鬱なハスビーン (講談社文庫 あ 114-1)
憂鬱なハスビーン (講談社文庫 あ 114-1) / 感想・レビュー
夢追人009
朝比奈あすかさんのデビュー作で群像新人文学賞受賞作です。ハスビーンの意味は一発屋の事ですが、私は本書を読んで少し憂鬱でした。その理由は著者にも作品にもなく詳細すぎるパーフェクト解説だったのですね。これから読む方には出だしから結末を含めて本文のダイジェスト版みたいな要約が為されていますので、くれぐれも解説を先に読まない事をご注意申し上げますね。エリート塾TOPの小学生時代から順調な学歴を経て東大から有名企業に入ったのに歯車が狂い不満だらけのヒロインの凛子は人生のハスビーンから脱出すべく漸く進み始めましたね。
2019/09/26
lonesome
朝比奈さんを初めて読んだ。最後まで読んでみてとても好きな小説だと思った。主人公の凛子のように高学歴で一流企業に勤めていて寿退社をした友達を思い浮かべながら読んだ。最初、凛子が他人を見下しずっと苛々している姿に、哀しさが滲んでいるように思えた。凛子も両親も夫もまわりも誰が悪いというわけではない。凛子は凛子で頑張って生きてきたけれど、そういう生き方しか出来なかっただけなのだから。友達には息抜きとなる趣味があったけど凛子にはなかったのだろう。ハスビーン、最後に呪縛から解放されてこれからどう変わっていくだろう。
2014/05/08
ぐーたら
東大卒、有名企業に就職、弁護士と結婚という経歴をもつスーパー凛子。「かつては」輝いていたはずだった。勝ち組のはずだった。優秀な過去があるからこそ追い詰めてしまう生活。最初からハードルが高いと、もっと上を望み、下げる事を恐れる。こういうのを読むとちょっとおバカぐらいな方が期待されてない分、少しでも出来ると評価が上がるから気が楽なのかもしれないと思う。高学歴エリートだと無駄に期待値が高く期待を裏切れないプレッシャーに押し潰されそう。周囲の期待が息苦しい。窮屈。凛子が気の毒になった。薄さのわりに重みのある一冊。
2016/12/26
barabara
多分…この主人公はアスペ寄りのごく軽い発達障害なのかな、と思いながら読んだ。気持ちもわかるし、なまじっか勉強一筋一直線世代だから、実際死ぬほどいろいろなこと我慢して親や教師に言われた通りやってきたら、時代が変わって聞いてないよ!という気持ちもわかるし。高学歴故、なかなか職が決まらない…こういうのもよく聞く話だから、こじらせちゃうと辛いよねぇ。コミュ障は本当生き辛い時代なのよね。
2016/01/05
ダリヤ
稟子をとりまくかんきょうは、はたからみれば、どれももんくのつけようがない、きっとうらやましいっておもわれるものばかり。けれど稟子は、満たされないせいかつをしてる。稟子のいままでをしるごとに、かのじょのかかえるハスビーンがうきぼりになってく。かのじょのゆううつのかたまりが、するりとおちたあのさいごのしゅんかんが、とてもすき。
2011/11/11
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