宿命(上) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京 (講談社文庫 に 29-6)
宿命(上) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京 (講談社文庫 に 29-6) / 感想・レビュー
W-G
お金持ちの身勝手極まる下衆話は傍観者にしてみればとても面白い。ということを証明する小説。学生運動の描写はおそらく、世代の人にしか伝わらないものがあるだろう。私としては、三奈と眞一が地位を手に入れてからの変化や、その子供世代の驕りが楽しい。崇の甘さのあるエリートぶりや、尚子の強かさ、被害者っぽく見える宣子にしたところで、かなり利己的な思考で動いていたりと、劇画的な醜さ満載。崇の父親問題など、全編を貫く本筋に捻りが足りない気もするが、ここからさらに政治絡みのドロドロが加わってくるなら、下巻も期待出来そうだ。
2020/04/20
gonta19
2010/8/12 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2021/7/18〜7/24 学生運動で関係のあった三人が、片や多数の病院を有する医療法人の女性会長とその婿養子として、片や、有力代議士として、お互いの息子、娘の縁談の席で会い見えることに。過去に正確に気付いているのは、女性会長である三奈だけ。最初は縁談に喜んでいた三奈であったが・・・どうなる下巻。
2021/07/24
ユザキ部長
背景にあるイデオロギーや主義主張が違ってても目的は一緒という不条理。百々のつまり闘争は自分との戦い。戦いはやがて国政に舞台が移るが勝負事が大きくなるほどにリスクも然り。それ故に愛と憎しみの振れ幅が激しくなる。かつての夢。夢の手前で強烈な事実が露呈する。さて。
2020/08/26
ミスターテリ―(飛雲)
懐かしく読んだ。少し後の世代ではあるが、東大の安田講堂陥落の場面はテレビでリアルタイムに見ていて、まさに機動隊が突入、その真っ只中にいた主人公たちの考えや行動を興味深く読んだ。彼らはいったい何を目指したのか。あの時感じた空気感がすべてこの作品につまっている。そして30年後、学生運動の中で関わりあった彼らを結びつける宿命とは・・学生運動は失敗したが、それでも三奈はいつかはこの国の権力構造の頂点に人を据える夢をあきらめていなかった。そんな壮大な物語が始まる。息もつかせぬ展開のおもしろさで、一気読みであった。
2024/08/13
背古巣
「宿命」。いい題名です。かつての安田講堂事件を頂点とする学生運動に交わりをもった人たちが、何十年後かに知らず知らずのうちに再び人生の交点を迎える。そこには人に言えぬ秘密があり、事実に気づいたものは苦悶する・・・。と、まあ、この巻はここまでの問題提起のようなものですが、人それぞれの考え方、特に若いころと相応の年齢になった時の考え方の変化が面白かったです。さあ、後半はどのように結論を持っていくのか、楽しみです。
2017/12/10
感想・レビューをもっと見る