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水の中の犬 (講談社文庫 き 52-2)

水の中の犬 (講談社文庫 き 52-2)

水の中の犬 (講談社文庫 き 52-2)

作家
木内一裕
出版社
講談社
発売日
2010-08-12
ISBN
9784062767408
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水の中の犬 (講談社文庫 き 52-2) / 感想・レビュー

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ナルピーチ

今までに読んだ木内作品とは類することのない無骨でハードボイルドな本作。矢能シリーズ始まりの物語はとても長いプロローグ、もしくは前日譚といったところか。名もなき“探偵”を主人公にして、銃弾が容赦なく飛び交い、血飛沫が舞い散っていく。彼を突き動かすのはただの正義感かそれとも信念か。愚直なまでに不器用な男の生き様を熱く感じ、結末にほろ苦さが込み上げた。そんな探偵が出会った“矢能”と“栞”を軸とした新たな物語は、探偵の意志を受け継いだ内容となっているのか。続編『アウト&アウト』への期待が膨らむ。

2022/04/02

おしゃべりメガネ

実は読了してから、あの不良学生漫画の金字塔『BE-BOP-HIGH-SCHOOL』の作者さんということに気がつきました。そんな色メガネ?は抜きにしても、全然十分におもしろい物語を書く方なんだと驚きました。悪い意味ではなく、話の内容が深すぎはしないので、ハード&ヴァイオレンスといっても全然ライトな感じです。むしろ人間描写がなかなかな書き方で、そちらのほうに引き込まれてしまいます。漫画出身だからなのか、とにかく状況などが容易に想像しやすく、スッと入り込めます。続編『アウト&アウト』も傑作なので、是非どうぞ!

2011/07/23

utinopoti27

他人のどうにもならないトラブルに首を突っ込み、自らを大ピンチに陥れ、命を粗末にする男。彼はなぜハイリスク・ノーリターンな生き方を望むのか・・。本作は、元警官で探偵を名乗る主人公の命知らずな日々を、3つのストーリーで描くハードボイルド小説だ。木内作品といえば、軽快なセリフ回しとクセの強いキャラ造形、頻繁な場面転換を駆使した疾走感溢れる構成がウリ。今回は決して後味の良い話ではないのだが、主人公の生き様を引き継ぐ『矢能探偵誕生秘話』として、シリーズの今後を形作る、重要な役割を担う。独特の感性が魅力の意欲作。

2021/01/03

ぶち

先に読んだ『アウト&アウト』の前作にあたる作品。愉快で痛快だった『アウト…』に比べて、この作品はけっこうなノワール小説です。人がたくさん死ぬし、暴力描写もえげつないものがあります。主人公は、先代の探偵で、元刑事です。この探偵が、これでもかというほど痛めつけられ怪我だらけになっても、敵に向かっていきます。読んでいて痛々しく、"誰か助けてあげてー" と叫んでいました。こんな小説ですが、エピローグではホロリとさせられました。次代の探偵への繋がっていく経緯にも胸が熱くなりました。栞の今後もたいへん気になります。

2019/08/02

chiru

矢能は「名無しの探偵の見張り役」として登場。 探偵は、ノーガードなのに強くてクールで、他人のために傷を負うタフガイ。 現役ヤクザの矢能と探偵は、誰かが不条理に傷つけられることから目を逸らさないという1点で、合わせ鏡のように共鳴しあう。 小学生の少年救出シーンは涙。 ハードボイルドだけど、外し加減が絶妙なところが好き。 セリフの間合いの数秒に、感情ではなく心の欠片みたいのがたくさん散らばってる。 それが泣きたくなるほど優しくて尊くて、胸に迫る勢いで心を打ちます。 続きが楽しみ! ★5

2019/02/13

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