転生 (講談社文庫 し 46-6)
転生 (講談社文庫 し 46-6) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
巻末にはチベット取材記まで付いていて、著者の意気込みもひとしおなのだが、残念ながら『弥勒』が持っていたような魂の震えはここにはない。中国の中にあって、チベットが、そしてチベットの人々が置かれている苦境はよくわかるが、小説としてそれを伝える方法として「スラップスティック活劇」(作者の言)を選んだのは、的を外してしまったようだ。パンチェンラマ10世の造型もやや不徹底であるように思えるし、ロプサン以下の他の登場人物もいささか魅力に乏しいようだ。「心余りて言葉たらず」といったところか。
2020/12/25
tama
図書館本 篠田シリーズ いやーーー面白かった!最初はスラップスティックかと思っていたらじわじわと。女目線じゃないけどいい出来だなぁ!アクアリウム、弥勒を融合させ更に数段階引き上げたような作品。それでいてラマと博士の口論場面などまさに筒井風味!勿論、小説的ご都合主義はチラチラするもののそれ自体が文章にとって「クスクス」いう感覚につながり「嫌にならない」。巧いものです。これは黄金ミイラ男の冒険物語と考えるのがよろしいかと。
2016/03/01
青葉麒麟
自分の無知さがことごとくよく判る内容だった(^^;チベットって国じゃないんだね。中国からかなり酷い扱い受けてるし!!ダライ・ラマの事とか名前だけは知ってるけど中身は??だったから良い勉強になりました。思ってた以上に読み易くてエンターテイメントだった(^_^)
2012/12/15
zanta
ラマの姿が目に浮かぶようだ。最初はとんだ生臭さで、転生したら人格崩壊、って話かと危ぶんだ。現実の社会への痛烈な皮肉と、主人公たちの魅力で、楽しく読んだ。
2013/11/12
ちゃま坊
チベット仏教の高僧のミイラが生き返り、説法をして歩く珍道中。水木しげる「カッパの三平」に出てきた死神を思い出した。高僧なのに色欲と食欲のミイラという設定が笑える。食えば当然脱糞する。死なないし暑さ寒さも感じないから妖怪の仲間に違いない。追う敵役が中国●●党。チベットの民を虐げ自然破壊を企む悪の野望をうち砕けるか。
2024/06/10
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