東京を弄んだ男: 「空疎な小皇帝」石原慎太郎 (講談社文庫 さ 80-2)
東京を弄んだ男: 「空疎な小皇帝」石原慎太郎 (講談社文庫 さ 80-2) / 感想・レビュー
Ikuto Nagura
私が東京に住んでたのは99年までなので、石原都政にほとんどかすってない。その後の彼の暴政や暴言も、他人事として笑って眺めてればよかった。ところで、今年息子が入学した小学校の入学式では、みんなが起立して開会の宣言を聞いたと思ったら、間髪入れずに君が代の演奏が始まった。あまりに不自然なその流れは、国家にも君が代にも、または出席した者にも、何ら敬意を感じない事勿れ主義の不快な作業であった。そして本書で、あのとき他人事と笑っていた自分へのしっぺ返しだったと知る。今度の都知事選も、笑って見てる場合じゃないのかも…。
2016/07/09
うたまる
面白い。左巻きが全く世情を捉えられていないことが抜群に面白い。あれこれ石原慎太郎の言動について批判し続けるのだが、彼がまがい物だなんてことはほとんどの人が知っているだろう。にも関わらず当選し続けるのは、対立軸たる左巻きの手法が絶望的に酷いからだ。即ち、弱者保護の名の下のタックス・イーター保護、論理の飛躍による『戦争になるぞ』という脅迫、名前を聞くだけで失笑するゲテモノ知識人たちの応援、彼を当選させた多数派有権者への侮蔑など。こういうことを止めて静かにしていれば、石原慎太郎なんて勝手に自滅するだろうに。
2014/07/05
owawamure
本当に小さい男が、なんでこんな権力をほしいままにし、都民は何も言わないのか、と暗澹たる気持ちになる。とはいえ、筆者の慎太郎への批判はやや感情的というか、どうしようもない男への憤りが先に立ちすぎているような印象。豊洲への移転問題や、五輪招致へのゴリ押しなど、最新のひでえ話がやや薄い、という印象。それでも、こういう本がこのタイミングで書店に並ぶのを見ると、まだましなのかと思う。
2011/03/29
ポンポコ
政治家の評伝ばかり読んでいる。今度は石原慎太郎。元々、作家としての才能が枯渇したから政治家に転職した人…くらいのイメージだったけど、こういう人に権力を持たせることが危険だとよくわかる。色々と改革の名の下、壊したものも、作ったものも、良いことも悪いこともたるけど、彼が作ったもので最も社会的影響を持つものは、空気だ。いくら政治家が悪意ある差別的な発言をしても、辞めず謝りもせずに済んでしまう、そんな空気。
2018/09/28
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