新装版 ムーミンパパ海へいく (講談社文庫 や 16-15)
新装版 ムーミンパパ海へいく (講談社文庫 や 16-15) / 感想・レビュー
jam
ムーミンシリーズ中、谷から海へと住まいを移す異色なお話。作者トーベ・ヤンソンはヘルシンキ生まれのフィンランド人で、51歳から77歳までの夏を小さな無人島で過ごした。フィンランドではそうした暮らしをする人も多いという。「海に守られ隔てられているのに、望めば全世界へと繋がっているのです」トーベ言。ムーミン谷の安住を捨て、自由と冒険を求め、嵐の海に漕ぎ出すパパ。谷に帰りたいママは、しかしパパの心を包容する。自然の厳しさも美しさも、心の中にある小さな孤高も、ママは全て包み込む。そこにちゃんと責任も自覚して。
2016/07/18
あつひめ
しばらくぶりに手に取った。テレビでのムーミンパパとは違った勇敢でちょっと頑固そうなムーミンパパにビックリしたり。現実世界で生きる時の難しい問題をムーミン達の住む世界で自然と絡めて私たちに問いかけているような気がする。文字を追うたびに風の音や波の音に混ざって悲鳴のような自然の音が聞こえるような気がする。いつも思うこと。これを原文で読む力があったら、もっと作者の伝えたいことがよくわかるのかもしれない。児童書の分類。子供達の方が無垢な気持ちでストレートにメッセージを受け止められるのかもしれないかな。
2016/11/20
ユメ
これまで描かれてきた夏は、北欧特有の輝きに満ちていて、海はその象徴の一つだった。ところが、今作での海と島は、恐ろしいほど荒涼としている。望み通りの暮らしを始めたはずがうまく行かずに苛立つムーミンパパの後ろ姿からは、小さな生きものには相応しくない野心を抱いてしまった悲哀が滲み出ている。振り回されるムーミンママとムーミントロールも大変だ。物語全体に漂う寂寞感に驚かされる。しかし、本を閉じて反芻すると、希望の兆しだってちゃんとあったことに気付く。迷子になっていた人々が居場所を見つけていく安らぎも確かにあるのだ。
2015/04/08
mii22.
シリーズ8作目。読者にも馴染み深い楽園のようなムーミン谷をあとにして、新天地を求め海をこえ灯台の島へ行くムーミン一家。なんという展開なんだ。新しい環境に変化する家族の心の動き揺らぎが丁寧に描かれている本作は、パパ、ママ、思春期をむかえた息子、養女(ミイ)それぞれの立場から心情を読みといていく、奥深いストーリーでかなり心揺さぶられた。あぁ、ムーミン一家の去った後の、ムーミン谷の仲間たちはどうしているのだろう..。
2017/11/12
だまし売りNo
ムーミン一家が島の灯台に引っ越しする。この灯台はムーミンバレーパークにもある。ムーミンパパは家長として存在感を示そうとして空回りする。ここは古さを感じる。
2024/01/23
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