モダンタイムス(下) (講談社文庫 い 111-4)
モダンタイムス(下) (講談社文庫 い 111-4) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
下巻に入って、上巻にあった目眩くスピードは失速。そのことによって、リアリティの欠如も目についてくる。スケール感も縮小し、文体も説明的なものに。思えば、上巻が大風呂敷を広げ過ぎて、作家自身がやや持て余すことになったのだろう。おそらく、書きながらも自分はこんなことを書きたかったのだろうかと何度も煩悶したのではないか。何よりも、ゴールへ向かう小説の求心力が失われたのは、返す返すも残念。最終幕はいわば詠嘆のうちに閉じられるのだが、それも致し方のないところ。もっとも、最後の数行は書いたご本人も満足だろう。うまい。
2017/08/04
ehirano1
こ、これは愛読の「ゴールデンスランバー」と同じ展開ではないですか!、と思ったらなんと姉妹作でした、納得。「ゴールデンスランバー」の”逃げ”に対し本作は”追う”というコンセプト。どちらも「勇気」が必要です。ん?勇気は実家に忘れてきた?それならあなたの勇気はあなたの身近な大切な人が代わりに持っているか、奥さんがあなたの実家から取って来てくれますよ。フフフ・・・。
2016/08/11
とも
読み込めば読み込む程に物語の伏線や、伊坂さんの思惑が読み取れる一冊。奥さんはひでぇ奴だ怖いやつだと上巻から驚愕してたけど、言ってる事は至極真っ当で真っ直ぐな人に思えてきた(笑)強いし頼もしいし、本当に渡辺(旦那さん)が好きでの行動なんやろうし。でも浮気相手のゆかりが接近してきた真相や、奥さんの正体が結局判明しないまま終わってしまった事は残念。読者の想像にお任せじゃなく結論が欲しかったな。少しモヤモヤが残ったなぁ。
2017/08/05
kishikan
忘年会やなんやらで、読み終えるのに時間がかかったけど、面白かったですね。なるほど伊坂さんならではの作品。僕としては、魔王との対比はもちろん、独立した読み物としてもいけると思うので、近未来的、社会派アクション小説として初めて読む方にもお薦めだと思います。それにしても、国家や会社というシステムの中で、いかに自分が無力な歯車であるか思い知らされます。システムの一部である自己の思いとは別に、システムはどんどん自ら(管理者)の目的を遂行していく、というのは怖いものですね。インターネット社会も一歩間違えば同じですね。
2011/12/30
射手座の天使あきちゃん
面白い! 読者の追随を許さぬハチャメチャなストーリー展開、タマネギを剥くように次々と現れる意外な真相(?) そして何より魅力的なキャラの佳代子さん(笑) でも・・・ うーん、伊坂さん こりゃ難解ですぜ、テーマでか過ぎ! <(^_^; あっ、結びの展開は好みでしたよ(笑)
2012/01/22
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