プリズン・トリック (講談社文庫 え 32-1)
プリズン・トリック (講談社文庫 え 32-1) / 感想・レビュー
hit4papa
交通刑務所内で発生した殺人事件に端を発し、これに直接的、間接的に関わる人々の、人間模様が描かれた作品。絶対的に不可能な密室殺人のトリックと、真犯人の動機に興味をそそられます。事件とはあまり関係のない、刑務所内の日常や、交通事故の加害者、被害者遺族の心情にページを割いており、ここを寄り道と考えるか否かで評価が変わりそうです。登場人物や枝葉のエピソードか多く、本筋を見失いそうになるかもしれません。トリックは納得ですし、動機も伏線を回収してはいます。しかし、ラストで全く違う様相の物語になってしまうのでした。
2022/09/09
財布にジャック
決して悪くは無いと思うんですが、視点が変わりすぎて誰が誰やらゴチャゴチャとしてしまい、せっかく舞台やアイディアが素晴らしいのに、ちょっと散漫な印象になってしまいました。単行本には未収録の最後の手紙のおかげで、解り易くはなっていたのだと思いますが、あの衝撃の最後で終わらせていた単行本のほうがその効果は大でしたよね。ちょっと辛口な感想になりましたが、乱歩賞とるだけの努力は、ひしひしと感じられました。
2012/03/20
miri
第55回江戸川乱歩賞受賞作。色々な要素が混線し、主要人物、出来事の描き分けができていない印象。ミステリーは精緻なパズルのような、または力任せにねじ伏せられるような迫力のあるものを好みますが、そもそも誰が誰だかわからない、行動理由に無理があると感じられると後は消化試合。ですが、序盤の交通刑務所内の様子はぐっと引き込まれる興味深さ。普段、見聞きすることのない刑務所内の容赦のない規律の厳しさに驚き。
2020/06/10
Kenichi Yanagisawa
アイデア5点、文章2点、総合評価4点 という感じの評価でどうでしょうか?(笑) 交通刑務所の中で起きた殺人事件。 いつ、被害者、犯人、動機、がすべてひっくり返る作品 それだけに読んでいると話が混乱してしまうという代物 それを差し引いても、何故、刑務所の中で犯行が行われたのか、 行わなければならなかったのかのアイデアが秀逸だったので、 こんな点数を付けてみました。
2013/08/16
おいしゃん
【江戸川乱歩賞作品】章ごとにコロコロ視点が変わるので、まずは相関図を作りながらでないと、完璧についていくのは難しい。さらに何重ものトリックで、その視点が本当に正しいかというのも、最後の手記を読むまでハッキリしない。さすが受賞作とも言えるが、手軽にミステリーを楽しむには不向きかもしれない。
2017/08/13
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