ふじこさん (講談社文庫 お 112-1)
ふじこさん (講談社文庫 お 112-1) / 感想・レビュー
はつばあば
「男」としての力量はこんなものか、そんな「男」を選んだのは自分じゃないか。宝石のように輝いていた男がいつの間にかプラスチックに変わってしまった。だから私はまた自分の宝物を探します。ふじこさんとリサの母の男不要論みたいな内容を小学生の目を通して語られる。2作目の夕暮れカメラの藤岡君もリサと同じように、親に気を遣いながら、顔色を見ながら暮らす。(男・夫・父と、女・妻・母、)家族とは、どんなものか問いかけられてもいる
2015/02/17
エドワード
両親が不仲になり、母親の実家で暮らすリサが、ある日、父親のマンションで出会うふじこさん―両親の不仲の原因でありながら、憎めない自由な大人。椅子の勉強にフラリとイタリアへ行ってしまう。彼女に出会えなければ、リサは苦しい少女時代を切り抜けられなかったかもしれない…。写真好きな高校生、小椋由海は、街でみかけるおばあさんの写真を撮ることに夢中になる。同級生の祖母だったおばあさんは遺影を欲しがっていた。おばあさん、まだ死なないよね…。誰にでもありそうな、不思議な心の交流を描く三編。字数が尽きて手品師はまた今度ね。
2019/09/18
やな
3つの短編です。ふじこさん以外の2つの物語はよく理解できんかった(~_~;)
2019/11/14
onasu
小学生のリサは、毎日がつまらなかった。両親は離婚調停中で母の実家に身を寄せていたが、家も学校も習い事もどこも居心地が悪い。そんな折に元の家に父を訪ねると見知らぬ女性が…。 父は仕事上の関係者だというが、家に訪ねてくるとなると…と女子には分かるものだが、何故だか、そのふじこさんといると心安らぎ、会うのが楽しみになっていたが…。 子どもに限らず、身の回りの世界で行き詰まった時に、違う世界もあると気づかせてくれるというのは、読んでいて好感が持てる。
2023/07/13
あかくま
3つの中編の主人公は、みな家庭に何かしらの問題があってもがいている思春期の女の子。少しずつ「だるさ」が募っていくような、出口の見えない毎日が、 ふとした出会いから違ったものに変わっていく。「生まれてから関わってきた人たちがすべてだと思い込んでいる感性」では見えない世界の広さ多様さを垣間見せてくれる大人の代表がふじこさんだ。そういう人にタイミングよく出会えることが、見えない宝物なんだね。大島さんは『ピエタ』以来だが、女性どうしの関わりかたをテーマにしているのかな。表紙のサボテンも面白い。
2014/01/20
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