疾き雲のごとく (講談社文庫 い 124-2)
疾き雲のごとく (講談社文庫 い 124-2) / 感想・レビュー
とん大西
歴史小説でエンタメ色が濃くなると軽薄な印象を受けることがあります(良し悪しやけど)。でも、そこはさすが伊東潤さん。ミステリーの趣を交えつつも王道のような重厚さ。戦国時代の第一走者・北条早雲の躍動が見事に描かれていました。大胆不敵でダンディ、深謀遠慮でクール。民政家であり革命家でもあった早雲。敵・味方、僧侶、馬丁、関わった人々の目を通して早雲の横顔を語る6編。少ない頁数ながらゾクゾク、ユーモラス、シリアスありで読み応え充分。お気に入りは『修善寺の菩薩』。まさかの展開に唸ります。早雲してやったり(* ̄∇ ̄*)
2018/09/11
ポチ
戦国時代黎明期。混迷を極める関東(武蔵・相模)。そんな関東に進出した北条早雲を色々な角度から見た6話の短編。面白く読了。
2020/10/12
baba
伊勢新九郎を主人公にした連作短編集。太田道灌、足利茶々丸、大森藤頼、三浦道寸などの人々が関わる関東勢力が伊東氏の筆によってよみがえったように活躍する。ただ知識不足で古河公方、堀越公方、扇谷上杉などが吞み込みずらかったのが残念。策略家ではあるが、爽やかな伊勢宗瑞が印象深い。
2017/05/10
Wan-Nyans
★★★★面白かった!あまり知らない戦国以前の関東を克明に描く連作短編集。「道灌謀殺」に始まり、太田道灌を謀殺した上杉定正を描く「守護家の馬丁」、暴君・足利茶々丸が主人公の「修善寺の菩薩」、北条以前の小田原城主・大森氏を描く「箱根山の守護神」、今川義元の父・氏親の「希なる人」いずれも面白く、三浦一族滅亡に至る最後の「かわらけ」は圧巻の一言。伊勢宗瑞(早雲)が関東を制圧、戦国時代に突入する過程が良く分かった。マリンパークがある油壺の地名の由来が怖ろしい(^^)
2019/06/22
YONDA
伊勢新九郎を狂言回しにした短編集。太田道灌・足利茶々丸・上杉定正・大森氏頼・今川氏親・三浦道寸などの武将たちが出てくるが、どの武将もよく知られている「戦国時代」の少し前に登場している人達なので、知っている人は少ない。が、東国においてこれ程までの戦乱があったのかと驚くと共に、どの武将(国衆)も際立っている。新井城には登城したことがあるので、道寸の辞世の句は心にグッときました。「討つ者も 討たるる者も かわらけよ 砕けて後は もとのつちくれ」
2017/12/03
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