新装版 瞬間移動死体 (講談社文庫 に 24-19)
新装版 瞬間移動死体 (講談社文庫 に 24-19) / 感想・レビュー
そる
バカバカしい系ミステリー。「○○○○○○○○殺人事件/早坂吝」に似た匂いを感じたがこっちが先だし、まだ誠意ある印象笑。文章が読みやすい、登場人物のキャラ立ちがすごい、特殊な手法を使ったとはいえミステリーが完成されてる、(屍人荘の殺人/今村昌弘にも近い)サラリと描かれる人間の心情が妙に言い得てるなどで大変おもしろかった。この方の本はまた読んでみたい!「しかし何事に於いても、人間は完全無欠な能力なんて都合のよいものを有し得ない。その不完全さこそが人間を人間たらしめているわけで、現実はそう甘かないのである。」
2023/05/28
しんたろー
西澤さん2冊目。ミステリと超能力を一緒にするという禁断の食べ合わせを上手く料理して食べさせる西澤さんらしい作品。今回は特に語り口や台詞のやり取りがテンポの良い漫才みたいで大いに笑わされた。初期設定のテレポーテーションをするためのルールが明確で面白く、それが枷になってミステリとしても活用されているのがニクい!メインキャストの性格づけも可笑しくて、ほぼ5人だけで話を巧みに展開させているのも感心した。途中で真相が見えてしまう弱さもあるが、それでも良くできた娯楽作だし、舞台劇にしたら楽しめると思った。
2017/06/21
ナルピーチ
さすがは西澤先生!!特殊設定の作り方がとても上手!今作では主人公が"瞬間移動できる"という特殊能力を駆使してアリバイトリックを用いた妻の殺害計画を目論むも、まさかの別の殺人事件によって物語は思わぬ方向へと展開していく…。彼の特殊能力が事件解決への一役を担うのだが、その発動条件こそがこの物語のキーポイントとなり見事なまでのロジックになっている。都合の良すぎる能力とはならずに能力のマイナス要素を本格ミステリーに組み込むあたりに西澤先生の巧みな手腕と技巧を凝らした一冊として存分に楽しむ事が出来た。
2024/10/12
nobby
テレポーテーション能力を使っての殺人計画。どれだけSF展開かと思いきや、なかなか飛ばない(笑)そのテレポートにはアルコールを口にしなくてはいけないが下戸、移動先の何かと入れ替わる、行った先では全裸で何も持参出来ない、こんな不憫なとんでもない設定が実に見事なロジックを生む。登場する人物達がフシダラな関係を重ね、あまり心地よくはないが読み進めてしまう。最終章40頁で描かれる謎解きには、身を乗り出しながら感嘆してしまいお見事!
2015/08/12
kokada_jnet
前半の主要キャラクターどうしの、身内でのウダウダした鬱陶しい会話の連続が(狙って書いているのだろうが)、とにかく不快でたまらず、読書中断。ミステリファンにしても、SFファンにしても、現実世界でのそういう会話で大嫌いで、「論理的にストーリーが展開される」ミステリ/SFが好きになったはずなのに。なので、この本はどんな読者に向けて書いているかが、わかりません。
2023/06/18
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