透明人間の納屋 (講談社文庫 し 26-28)
透明人間の納屋 (講談社文庫 し 26-28) / 感想・レビュー
マーム
少年向けテイストが強いなと思ったら、元元講談社ミステリーランドとして出版された作品。日本海側のF市で衆人環視のホテルの1室から全裸の女性が姿を消し、後日遠く離れた海岸で腐乱死体となって発見されます。タイトルどおり透明人間の関与を疑わせるケレン味たっぷりのストーリーが島田作品らしい。一見突拍子もない事件の裏にもっと大きな事件の構図が隠されているあたりも。物語の終盤、事件から26年後に届いた手紙により明らかとなる真実。透明人間という言葉の本当に意味に当時少年だったヨウイチは悲しみ打ち拉がれます。切ない読後感。
2012/11/22
chiru
ミステリーランドシリーズ。 格がひとつ上の作品。 孤独な少年が唯一心を開く“真鍋さん”と星空を見上げながら語りあう、繊細で美しい世界観で始まる。 真鍋さんは宇宙や星の話を、真剣にしてくれる大人。 親友のような真鍋さんが少年に残していった『透明人間』の謎とは? 『透明人間』が暗喩だと気付くと、トリックや謎の核心まで一気に全容解明。 作中で描かれる凄惨な悲劇と対照的に、静かなぬくもりに満たされる結末。 少年の視界に写っていた世界の切なさが胸に残る。 現役の少年にもいいけど、かつての少年におすすめ。 ★5
2019/01/27
Tetchy
子供向けというにはなかなかハードな内容だ。大人の卑しい部分を若干オブラートに包んではいるが、はっきりと描く。重ねて表紙も含めて物語に挿入される石塚桜子氏のイラストは抽象的で観念的で禍々しくておどろおどろしく、怖さを助長させ、読者の子供諸氏はトラウマになるのではないだろうか。とまあ、いきなりネガティヴな感想を羅列してしまったが、やはり島田、他のミステリ作家の一つ上を行く完成度だ。世間を賑わせていた社会的な問題がまさか透明人間と繋がるとは思わなかった。現代性と古典的トリックの融合。氏のミステリマインドに感服!
2012/08/20
たか
島田荘司が送るミステリランドシリーズの一冊。昭和52年夏、日本海側のとある町。母子家庭に育った少年・ヨウイチと謎のおじさんの交流が、抜群のノスタルジックな雰囲気を醸し出している。 前半は、子供のころのヨウちゃん視点、後半は、大人になってからの浦上視点で物語が語られるが、そのギャップが面白い。島田荘司得意の世代間の視点のズレと少年の頃の切なさを掛け合わせた趣向が絶妙である。C評価
2018/06/16
coco夏ko10角
ミステリーランド作品。最初で「宇山さん…」としんみり。本格ミステリなのか、それとも透明人間が本当に存在するSFミステリなのか?と真相が気になりながら読み進めたら……。 あと時折挿入される画が不気味。
2015/12/02
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