獣の奏者 4完結編 (講談社文庫 う 59-4)
獣の奏者 4完結編 (講談社文庫 う 59-4) / 感想・レビュー
kishikan
獣の奏者ついに完結。なんか、ナルニアとかロード・オブ・リングのようなファンタジー映画を見ているようでした。解説の縄田一男さんも言ってるけど、50を超えた男が感動に涙してしまうほどでした。優れたファンタジーは大人の心も揺り動かす力を持っているのですね。上橋さんは、当初闘蛇編と王獣編の2編で終わらすつもりだったようですが、いえいえエリンの息子ジェシが登場したからこそ、家族の絆とか人間愛が際立ったのだと思います。こんなせちがない世の中だからこそ、平和や自然、野生というものを人間は大事にせねばならないのですね。
2016/03/16
absinthe
悲しい結末だったし、これからの世はますます大変になる。いつどの時代に生まれても安寧は訪れないのかな。ひとりの力ではどうしようもなかったのか。すべてが無駄に終わったわけではなかった。人々は新たな学びを得た。absintheは思う。歴史は繰り返さない。次の世は少しでも賢くありますように。
2020/06/20
kaizen@名古屋de朝活読書会
どこで「残った人々(カレンタロウ)」の話が出てくるのだろうと、はらはら、どきどきしながら読んだ。ジェシの親が結末でどちらかが亡くなることは想定できた。人を殺して、生き残って幸せでしたでは、話にならないだろうから。ジェシは、母親のエリンと同じように教壇についた。戦を避ける方法を見いだせないまま。
2013/05/06
ナルピーチ
心が揺さぶられる最終巻。家族との僅かな団欒、王獣達との触れ合いを経た先に待ち受けるは過去に封印されし〈大災厄〉抗いながらも容赦なく飲み込まれていくエリンの命運は如何に…。その半生を“獣”に捧げ、懸命に生きる彼女の姿がなんとも物悲しくも、最後まで彼女の苦悩と覚悟がヒシヒシと伝わってくる。著者は何処まで彼女に試練を与え続けるのだろうか。最終章に入り、圧倒されるクライマックス。いろんな要素が敷き詰められたその結末には賛否はあると思う。だが、この壮大な物語を読了できた事、この小説と出逢えた事が何よりも良かった。
2022/07/18
bookkeeper
★★★★★ 初読。祖先が何らかの理由で制約を設けた闘蛇と王獣の育成。隣国が遂に闘蛇の軍隊を手にしたため、エリンは王獣の繁殖と軍用訓練に着手する。秘された謎が明らかになるとき、恐ろしい悲劇が起きてしまうらしいのだが…。 王獣の生態を少しずつ解明しつつも、開戦までの期間が余りにも短くて悲しいです。鶏や馬と同じリアリティで王獣たちが翔ける世界に思う存分浸りました。何と切なくて愛おしいのか。読む度に新たな気づきがありそうです。 「滔々たる歴史の柵から解き放てますように。そのために、ここまで歩んできたのだから」
2019/11/28
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