己惚れの記 (講談社文庫 な 82-3)
己惚れの記 (講談社文庫 な 82-3) / 感想・レビュー
巨峰
天保の改革で有名な水野忠邦。その旧臣で忠邦を慕う物集女蔵人が主人公。旧主の親族の罪を自ら被った蔵人が、忠邦の改革挫折の危機に流刑の島から脱出して帰ってくるのだが・・・チャンバラのシーンに迫力がありかなり印象的で、歴史的史実がありながらも、先の読めないストーリーを楽しめた。
2016/04/27
onasu
老中となった水野忠邦の腹心、物集女蔵人(モズメクランド)は改革に傷がつかぬよう、他人の罪をかぶり名を伏せて新島の流人となっていたが、江戸からの手紙で改革の危うきを知り、そこに島抜けの誘いがあって…。 その島抜けを誘ってきた者の素性が、全編にわたり関係してくるというのが味噌で、島抜けから始まる活劇や蔵人の己惚れと称する忠義と、藩内や大奥、南町奉行の鳥居耀蔵を絡めた暗躍は息をつかせない。 ただ、己惚れというだけあって、全てを抛ってまでして成したかったことがそこに帰するというのは、些か理解し辛いですね。
2019/05/25
sken
“己惚れ”というタイトルから想像していたものとは180度違っていましたが、漢が己を貫くために全てを捨てて生き、そして死んでいくこの物語は読み応えがありましたぃ。自らが選んだことに殉ずべく、極限まで追い込まれても意地を通していこうとする主人公と、その傍らで数奇な運命を課せられても必死に生きるために戦う半端者等、人物造形もずっしりと重く、また宿敵に対する哀れみと怒りを押し殺して戦う剣戟シーンなども迫力がありましたぃ。この作家さんも追っかけてみたいと思います。
2013/04/05
瑠璃唐草
タイトルからは、まったく予想していない内容でした。天保の改革に命を懸けた物集女蔵人という男の生き様。己の信念のみに従って動く姿が、実に格好がよいのです。登場人物がそれぞれの魅力を持っているんですが、中でも蔵人の妻菊枝。「この夫にこの妻有り。いい女だなあ」と、惚れ惚れしながら読みました。ラストに至るまで、独特の渋味を湛えた、読みごたえのある作品です。
2015/12/29
鵺
天保の改革を推進した水野忠邦の家臣、物集女蔵人を描く歴史小説。前半は正直、読むのに時間かかったが、ラストに向けての物語の展開は悪くなかった。
2020/02/26
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