翔ぶ梅 濱次お役者双六 三ます目 (講談社文庫 た 118-5)
翔ぶ梅 濱次お役者双六 三ます目 (講談社文庫 た 118-5) / 感想・レビュー
財布にジャック
今年の一冊目です。長野からの帰りの電車の中で読了しました。濱次さんシリーズはこれで3作品目ですが、安定した面白さで安心して読めます。濱次さんは勿論ですが、まわりで脇を固める登場人物達も魅力的な個性派揃いで、今回は短編で読みやすさもアップしていました。濱次さんがスターになる日はまだ遠そうですが、ずっとずっと応援していきたいです。そして、今年は東銀座の新歌舞伎座も春にオープンするようなので、歌舞伎ブームが来そうな予感で、このシリーズの読者も増えるかなとちょっぴり期待しています。
2013/01/04
ぶんこ
遂に「翔ぶ梅」の舞台場面が登場しました。読みながら頭の中で舞台を作り上げていました。田牧さんの創造力に脱帽です。誰か田牧さんに歌舞伎の本を頼んでくれないかな。この舞は、玉三郎さんしか思い浮かびません。世襲でない役者さんが名代役者になるのは珍しく、養子ではなく引き上げられるというと、市川猿之助一座しか思いつきません。江戸時代はともかく、今も役者同士の騙し合い、潰し合いってあるのかな? 想像したくないですが。濱次さんの処世術を若い歌笙さんが誤解して騒動を起こした後の歌江さんと勘弥さんの話にはニヤッとしました。
2015/06/23
onasu
前作では、市井の裏長屋に屋移りした、大部屋女形の濱次。長屋と森田座を行き来する話しもおもしろかったが、お役者双六としては、思わぬところで天性の芝居者を出してしまう初作ほどには…、とも思っていたが、三作目ではその広げた舞台が、濱次だけでなく、作品の奥行きにも奏功している。 構成は、濱次に中村座から引き抜きの話しが舞い込む中編の他、短編一話と折々に登場する香風(コウフウ)の表題作。 周りは濱次の才を愛で、出世を心待ちにしているが、肝心の本人は芝居さえできれば、と何処吹く風。続きは、どう持っていくのかな。
2016/02/29
moonlight
『濱次お役者双六』の三マス目。劇場同士のライバル関係、同じ劇場に所属する役者同士のライバル関係が濃く描かれた巻。駆け引きやゴリ押し、嫉妬のドロドロが渦巻く中にいても飄々とした濱次。しかし本人が気付かぬ才能に周りの人達が気がつき始めている。才能だけでもダメ、向上心だけではもっとダメな芸事の世界、気になる続きを読みます。
2022/11/09
aquamarine
シリーズ三作目。安心して読めます。今回思ったのが所作の描写の美しさです。煙管に良く似合った指がすっと伸ばされる様子など、美しい指と手の所作が映像で想像できてため息をつきました。芝居さえできればどんな状況でも構わないと思ってしまう濱次ですが、とうとう周りが放っておかなくなってしまいました。紀十郎、平九郎、そしてもちろん勘弥。脇の彼らがとても素敵で、そろそろ濱次も気づいて少しずつ変わっていくのではないかと思えます。ラストの若かりし頃の香風と仙雀のお話「翔ぶ梅」も良かったです。香風はやはり凄い人です。
2014/07/10
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