星が吸う水 (講談社文庫 む 31-3)
星が吸う水 (講談社文庫 む 31-3) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
表題作と「ガマズミ航海」の2篇を収録。タイトルと表紙はファンタジックなのだが、冒頭からいきなり性的な表現が続く。しかも、かなりハードな。表題作は3人の女性が登場するが、彼女たちの恋愛観は最初から最後まで交点を結ぶことはない。とりわけ主人公の鶴子のそれは一般的な意味では極めて特異で、男性的である。彼女にあってセックスはもうほとんどスポーツ、それも格闘技であるかのようだ。また、もう1篇の「ガマズミ航海」での結真のそれは、セックスの情感を突き抜けてもはや滑稽でさえある。例えば⇒
2022/06/12
おしゃべりメガネ
なんだかんだと読み続けている'クレイジー沙耶香'先生の初期の頃の短編集です。コンスタントに作品を出し続けながら、誰も真似できない(しない?)その独創性のある世界観は決してブレることなく、他の作品、作者さんを一向に寄せ付けません。本当にこの作者さんのアタマの中は果たしてどうなってるのかなと改めて思い知らされました。作者さんがほとんどの作品で扱う'性'のテーマに一番、真っ正面から立ち向かっている作品なのかもしれません。「性行為じゃない肉体関係」を求め、「本当のセックス」を探索する展開はとにかくクレイジーです。
2019/12/12
ゴンゾウ@新潮部
村田沙耶香さん作品の初読です。ハンマーで頭をガツンと殴られたような強烈な作品。これだけ性行為のことを赤裸々に真正面から描かれるとむしろ潔く感じてしまう。心ではなく、身体が肉体の結びつきを求めてくる感覚。人間というか生き物の本能なのだろう。左脳よりは右脳に響く感覚。こんな作品は初めてだ。
2017/02/03
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
☆4.0 『星が吸う水』と『ガマズミ航海』の2篇を収録。 どちらも村田さんの世界観の作品。『星が吸う水』は面白かった。 『ガマズミ航海』は村田さんの世界観についていけなかった。
2021/01/11
あつひめ
愛があって初めて繋がる…ということになるんじゃなかろうかと性行為に対して考えるのは、私が女だからか?それとももう今の時代はそれも古いことなのだろうか?なかなか難しい投げかけをするなぁ。村田さん。人は誰かの温もりに触れていると安心できる。すごく気持ちよく心を解放することができる。そこに快楽を追加するとき、相手に対する思いが関係してくるような気もしたり。何とも悩ましい課題を出されたような気分。これは繰り返し読まないと村田さんの描きたかった世界に辿り着けない気がする。
2016/07/20
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