ファミリー・シークレット (講談社文庫 ゆ 4-4)
ファミリー・シークレット (講談社文庫 ゆ 4-4) / 感想・レビュー
遥かなる想い
作家 柳美里による児童虐待に関する ノンフィクションである。著者が 描く著者自身の人生と 嘘をつき続ける息子との日々は、正直不快になるほど、凄まじい。 書くことによって、抱えてきた苦しみから 解放されるのだろうか?ひどく深い心の闇を のぞいているような、そんな本だった。
2022/09/14
Ikuto Nagura
臨床心理士長谷川博一『子どもを虐待する私を誰か止めて!』から読みたくなった本。作家柳美里が、自らの虐待と被虐待、カウンセリング受診による変化を記していく。カウンセリングする側の長谷川の著作では伝わらない受診側の内面が窺える。正に子は親の鏡で、因果は恐ろしいほど明確だ。恫喝しながら育てれば言葉による支配の方法を覚え、殴りながら育てれば暴力の使い方を身に付け、ネグレクトして育てれば自他に対する無関心を学ぶ。代々継がれた教育法の誤りに気付くためのカウンセリングであろうが、気付いたとしても改められないジレンマ…。
2016/05/25
つかほ
自分もカウンセリングを受けたような読後感。父親と自分との記憶の齟齬は、過去のトラウマで現在の自分が囚われていることをアホらしく思わせる。人それぞれの事実があるのだから、恨みや悲しみの記憶にいつまでもしがみついていても、バカだ。そういうものは捨てて、ああ自由になりたい。恨み、悲しみの記憶はもう終わりだ。
2017/09/10
うたまる
「家族以外の立ち入りを禁止されている”家庭の闇”は、この世の中のどの闇よりも濃い”闇の中の闇”なのではないだろうか」……我が子への虐待を悩む著者が、カウンセリングを受け克服しようとするノンフィクション記。でもこれ、ノンフィクションというより私小説に見える。エンタメに見える。感覚を刺激してくる虐待シーン、夢と現実をダジャレ的にこじつけるカウンセラー、父娘間での『藪の中』的対決、そして落着させない曖昧な結末。カウンセラーが家族の闇を解放していくように見せながら、その実すべては著者が自分の掌の上で転がせている。
2016/11/09
かんちゃん
作者ノンフィクション 児童虐待。我が子に手をあげる。 とめられない。 自分も親から虐待を受けてきた。 繰り返されるのか。 心の闇とは。 壮絶な子供時代。 やはり自分が悪いと思う。 冷静な判断が出来ない。。 難しい問題……
2015/10/06
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