占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫 し 26-29)
占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫 し 26-29) / 感想・レビュー
Kircheis
★★★★★ 島田荘司のデビュー作。 25年ぶりの再読だが、アゾートに関する手記など非常に読みにくく感じたのは変わらず。この読みづらさこそが臨場感をもたらす要素なんだけど、本格ミステリファン以外の読者にはオススメできない原因になってしまっている。 逆に本格ミステリファンであれば絶対読むべき本。 途中で読者への挑戦状が付されているが、島田氏がフェアすぎて割と簡単に分かってしまう。その辺のサービス精神もGOOD!!
2019/07/28
青乃108号
占星術には興味関心なく、また日本の地理に疎く緯度経度を羅列され示された地点がほら、地図上で一直線にならんで、などと煽られてもたいして驚きが得られず、流し読みにしてしまった部分が多かった。占星術にしても緯度経度にしても物語上は枝葉の部分に過ぎず、結果的に理解出来ていなくても何ら差し障りなし。探偵小説はその性格上、なくても構わない描写が多くなるのはやむを得ないのだとは思うけれど、俺はそういう、言ってみれば無駄な描写を読まされるのは時間の無駄、と感じてしまうので、結局のところ探偵物は向いてないのかも知れない。
2021/12/22
absinthe
absintheはこの小説大好きだ。ミステリーの中でも間違いなく上位だが。だが評価は難しい。全体に説明が多すぎ、事件のあらましを読むと半分ぐらいになっており、バランスもあまりよくない。でもこれが個性なのだろう。主人公、御手洗のキャラクターも面白いが謎ときは凄い。でもなぜかabsintheにはトリックと犯人が解ってしまったが、楽しみは半減しなかった。。どこかの漫画家がトリックを真似たらしいが、これほど個性のあるトリックは珍しいだろう。最後にピースがはまる快感。
Nobu A
島田荘司著書初読。大沢在昌の「新宿鮫」シリーズよりも長いのがあるのを知り、図書館で借りてきた。元々の原作は81年初版。本書改訂完全版は08年刊行。うーん途中挫折。後半流し読み読了。正直読みづらい。どうしてかなと考えると、まず登場人物が多く、物語展開に必要な心理及び行動描写が殆ど直接話法で両方含めて進行するため、分かりづらいたらありゃしない。興味を維持するのが辛かった。説明もなく何度も出てくる表現「アゾート」って何?40年以上も続くシリーズだから多くの読者を惹きつけるものがあるんだろうけどね。
2024/01/17
みも
御手洗潔。明晰な頭脳を有しながら占星術師として細々暮らし、名誉や金品には興味がない…反面、プライドは高く我が強い。衒学的で自信家で礼儀知らずだが、ホームズを揶揄するところなどは痛快でさえある。鬱病という形で顕在させる人間的不完全さと、時折見せる幼子の様な純粋さが実に魅力的。文体のリズムが心地よく、緻密な構成で本格推理小説の醍醐味を堪能出来る。犯行動機も説得力があり、トリックはお見事と言うほかない。エピローグにあたる遺書では沸き上がる憐憫の情。京都観光シーンは、無機質な情景描写に膨らみを持たせる効果がある。
2020/08/17
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