若様組まいる (講談社文庫 は 96-2)
若様組まいる (講談社文庫 は 96-2) / 感想・レビュー
NAO
【「男祭り週間」参加】明治という時代に取り残され、行き場を失いかけている若者たちの奮闘記。世間は落ち着き始めている中、維新でその生活の根底を覆され、自分たちの身の置き所をなくしている若者たち。同じような境遇でも、それぞれの立場があり、考え方がある。だが、誰もが、どうやって生きていったらいいかを真剣に考え、悩んでいる。明るさはまだ見えないが、何とか一歩を踏み出そうとしている。立場は違っても、同じ窯の飯を食った同期生同士、徐々に打ち解けつながっていく姿が微笑ましい。
2020/05/25
dr2006
明治維新で天下がひっくり返って久しい明治20年、本作は旧幕臣で維新後東京に残った旗本の家の若様たち8人の人間ドラマだ。言わば負け組の家督を背覆った彼らは、肩身が狭いだけでなく、定職に付けず経済的にも困っていた。そして武器の帯同が許された時代、ピストル強盗も起きて治安が悪い。彼らは警察官になるため巡査教習所に通うことになった。時代背景が許すやんちゃさが良いスパイスになっていて、長岡弘樹の教場と比較して読むのも楽しい。第一弾「アイスクリン強し」の前日譚にあたる本作で、より魅力的なシリーズになったと思う。
2022/10/04
kaoru
前作より面白い。舞台は明治時代の警察学校。それぞれ立場は違えど、明治に生きようとする若者たちの群像劇。若者たちが反目したり、協力したりする様子が、すっきりとした文章で書かれていて気持ちの良い小説です。
2016/07/18
優希
面白かったです。若様組たちが巡査になるまでの物語。青春のような空気感があり、引き込まれました。人情味も感じられます。
2021/10/25
ユメ
『アイスクリン強し』の前日譚にあたる、若様組の巡査教習所での日々を描いており、いわば明治の学園物。ミステリ要素もあり、恋の話もあり、クライマックスは捕物帳の様相を呈していて、若様組の青春がぎゅっと詰まった作品になっている。教習所に集まってくるのは、若様組の他にも様々な立場の者がいる。当然確執も生まれるが、急進し続ける明治の世に生きづらさを感じているのは皆同じ。それでも懸命に生き抜こうとする若者たちのあいだに同期としての友情が芽生えてゆくのが眩しい。それに真次郎の西洋菓子も一役かっているのが心憎い演出だ。
2017/10/26
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