異聞 太平洋戦記 (講談社文庫 し 103-1)
異聞 太平洋戦記 (講談社文庫 し 103-1) / 感想・レビュー
koba
★★☆☆☆
2015/05/01
財布にジャック
東京大空襲をテーマにした「超空の要塞」も辛かったですが、久米島を舞台にした「鬼の棲む山」は更に読むのが辛かったです。そして最後のノモンハン事件のオチにはビックリして「え~っ」と叫んでしまいそうでした。空想なのか真実なのか全く判らず神のみぞ知る訳ですが、でも読み物としては大変興味深い内容ばかりで、時の経つのを忘れて夢中になりました。
2013/10/11
B-Beat
☆柴田哲孝作品2作目。異聞という題名とおり定説を翻すかのような太平洋戦争に纏わる5編のエピソード集。最後の編のラストに至り「まさか」という荒唐無稽さも感じざる得なかったが、どの編も本帯上の「この物語はすべて事実に基づいたフィクションである」にも関わらず、まるでノンフィクションであるかのような説得力と迫真性に満ちていた。冒頭3編は山本五十六大将について鋭く大胆な仮説を展開してみせる。「まさか」についても案外当時の権力者の考えた筋書きだったかもしれない。いずれにしてもこの作家さんをまだまだ追っかけていきたい。
2014/08/12
RIN
柴田さんお得意の異聞。テーマは太平洋戦争。浅学にして「証言」や「証拠」の虚実の別は明確ではないが、トンデモ本にありがちなハイテンションな断定調ではなく淡々とした作風が「ひょっとしてこれが〝真実”かも」と幻惑されていく短編連作集。裏でどんな思惑が動いていようと兵士も将校も政治家も非戦闘員も勝敗どこの国であろうと個々の人間は全て記号化された存在になることが戦争の残酷さなのだと感じる。そして改めて、後世に「証言」できる戦争経験者は生き延びるべくして生き延びた人であり我々はその子孫であることに複雑な想いを抱く。
2015/05/02
saga
初読みかと思っていたら『チャイナ・インベイジョン』の著者だった。どうりで史実を踏まえた展開が面白い! そして、それぞれの話題に妙な説得力がある。特に東京大空襲や真珠湾攻撃の真相が本書のとおりだとすると、背筋が寒くなる。史観が変わること請け合いである。「鬼の棲む山」は沖縄住民や下士官の反抗もなく守備隊長の暴虐が止まらない流れがただただ悲しかった。異聞ノモンハン事件の最後のオチ、チンギス・ハーンの墓が日ソ双方にとっての奪還ポイントというのは……(^^;
2017/12/13
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