戦国鎌倉悲譚 剋 (講談社文庫 い 124-5)
戦国鎌倉悲譚 剋 (講談社文庫 い 124-5) / 感想・レビュー
mondo
この物語は、「悲運山中城」につながる背景が描かれており、興味深い。前半は、北条家の一門の話から入るので、似ている名前が多く、人物と名前が錯綜するため読み進め難い。伊東潤作品の中で、ラブストーリー仕立てで濡れ場も描かれ、飽きさせない。これまで伊東潤作品に登場する主人公の共通点は、武士道が重んじられる時代を背景にして民を愛する者を描いてきている。また、史実の種となる話をベースとしながらも、巧みなドラマ仕立てにしていて、それが戦国の時代の渦に巻き込まれていくあたりの儚さが惹きつけられるのだろう。
2016/09/28
Yukihiro Nishino
北条氏舜という人物は、恥ずかしながら知らなかった。己の理想の生き方と現実の乖離に悩む氏舜。大きな過ちを犯すが、それを乗り越え必死にいきる様が印象的だった。それにしても、こういう武将を描かせると、伊藤潤という作家はさすがにうまい。
2016/03/01
sin
北条を立て続けに読んでいるので、おおまかなこの時代の関東は分かった。 北条氏舜が主人公、とてもレア武将(笑)北条の分家(玉縄北条家)北条綱成の孫にあたる。3代目としての苦悩と、時代は北条家終焉に向かっていく中の氏舜の生き様。綱成が武断派な老害になってて、あぁぁ・・・(笑)玉縄3代の違いと、やはり最後の秀吉関東征伐が山場になってて面白かったですね。
2014/11/17
Wan-Nyans
★★★★★期待したよりも遥かに面白かった。個人的に傑作ではと思う。まず、玉縄北条家当主、北条氏舜が主人公というのが良い。はっきり言って全く知らなかった(笑)けど、弟の氏勝と共に小田原無血開城に大きな役割を果たした武将として歴史に名を残すべき人物だった。ところが訳あって北条家の文献から名が消されている。そんなマイナーでありながら、魅力的な人物にスポットを当てるところが伊東作品の素晴らしいところ。解説によると、大平寺再興にかける青岳尼の話は実話を元にしている。娘の青蓮尼とのロマンスも本当なら良いなあ(^^)
2017/12/01
YONDA
学生の頃から戦国時代の本は数多く読んできたが、ほとんどが西国武将の話ばかりであったと本書を読んで気づいた。北条家は早雲の時代から、東国で力を付けた武将であることは知っていたが、本で読んだことはなかった。本書の主人公は玉縄北条家の三代目の主である。猛将として高名だった祖父と父のプレッシャーを受けつつも、自分と言う者が何者であるのかを悟っていく物語である。関東が舞台なだけに、知っている地名が頻繁に出てきて頭での組み立てがとても楽しかった。そして、坂東武者の生き様を感じられた。
2013/10/27
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