竜が最後に帰る場所 (講談社文庫 つ 32-1)
竜が最後に帰る場所 (講談社文庫 つ 32-1) / 感想・レビュー
yoshida
結論として、恒川光太郎さんは幻想小説において現在の屈指の作家だと思う。今まで「秋の牢獄」、「夜市」を読了した。だがこの短編集は圧倒的だ。「風を放つ」がやや退屈だ。しかし残りの4編の短編で尻上がりにレベルが上がる。特に最後の「ゴロンド」は圧倒的だ。久しぶりに時間を忘れ、読み終えるのが本当に惜しいと思った。こういった体験があるから、私は読書をやめることはない。恒川光太郎さんの発想力に心から唸らされた。この短編集は今年読んだ作品のなかで、突出して素晴らしい。まだ一月だが今年読むであろう本の三指に入ると断言する。
2017/01/25
しんたろー
恒川さんに入門?して3冊目…今回も恒川ワールドに酔いしれた。5つの短編集のどれもが素敵だが、独特なパラレルワールド&怪談風『夜行の冬』、偽装集合体というアイデアが独創的な『鸚鵡幻想曲』、手塚治虫の名作を彷彿させるファンタジー『ゴロンド』の3作は特に秀逸!何処かしら「和」のテイストが漂う文体にSF的な発想が溶け合って、凛と張りつめた空気の中に微かな温かさを感じる。読み手の心境によって印象が変わる深さもある。SFずれの読者でも初心者でも楽しめるのが大きな魅力で、全作制覇を目指すべき作家さんだと思った。
2017/10/03
射手座の天使あきちゃん
恒川さんの頭の中にはどんな世界が広がっているのでしょうか? なんとも捉えどころがない不思議な世界観でした。 「夜行の冬」背後から目に見えない何かが迫ってくるような恐ろしさが好き!(笑) 「ゴロンド」これは何のお話なの?と思いながらもファンタジックな展開に惹きこまれました 「迷走のオルネラ」狂気が怖いですね! (^_^;
2013/11/16
nobby
キュハリラ!その美声、一度は耳にしてみたい(笑)人間の(あるいは爬虫類の)何気ない日常を読んでいると、いつのまにかファンタジーに引き込まれているのが何だか不思議…小瓶の精霊・月猫・〈夜行〉なる死の遣い・鸚鵡・竜などの生物が唐突ながらスルリと主役として登場するのが憎い!5篇ともに毛無し猿ことヒトの浅はかさへの風刺は鮮やかながら結末には哀愁漂う…どれも好みだが、伝説の強者たるドラゴンの成長または生態系への想像が楽しい「ゴロンド」と〈擬装集合体〉という驚愕の発想に留まらない衝撃的展開な「鸚鵡幻想曲」が特に秀逸♬
2021/02/10
KAZOO
5つの短編が収められています。題名の作品が収められていないのですが、全体の雰囲気をこれで表しているのでしょうか?「草祭」に続いてなのですが、私の好みとしては「夜行の冬」がイメージ的には一番であると感じました。最初の「風を放つ」も最後の最後まで期待したのですが?まあ楽しめます。
2016/05/05
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