醜聞の作法 (講談社文庫 さ 99-3)
醜聞の作法 (講談社文庫 さ 99-3) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
まずはタイトルがなんとも秀逸。もっとも、邦題の『醜聞の作法』と併記された仏語題"La Cause Célèbre"とが微妙にずれているところは、どう考えていいものやら。装丁は文庫よりも単行本の方が上。中味もまた、書簡体と醜聞とを交えた実に凝った構成。そして、我々読者は最後に至るまで(あるいは後半は一層のこと)煙に巻かれるのである。冒頭のボーマルシェの引用といい、物語全体のスタイルといい、もう18世紀末のフランス文学かと幻惑されそうだ。物語の「時」と「場」は、まさに革命の兆しが現れ始めたころのパリである。
2018/05/09
カピバラ
ゴシップに振り回されるのは、時代や国が違っても同じなんだなー。描き方が巧みでした。
2014/07/24
ヨクト
佐藤亜紀さんの作品としては、書簡形式ということもあり、比較的ポップな文体でユーモアに富んだ内容だった。18世紀のフランスで、ゴシップ紙が民衆を炎上させる。そう、現代で言うところのTwitterというわけだ。ゴシップの中で描かれる内容と、真実の内容が二転三転してややこしかったが、最後には収まるべきところに上手く収まった感じです。
2016/05/19
俊介
舞台はフランス革命前のパリ。崩壊寸前の体制の下、民衆が飛び交わす「噂」が共同体の秩序をギリギリのとこで支えていた、そんな時代。その噂に翻弄される人とする人たちのドタバタの物語。コメディではないのだが、劇中、登場人物が噂として仕立てる架空の筋書きが、実際の筋書きなのか何なのか途中からこんがらがってきて、何ともおかしかった。また、この小説自体、1人の人の手紙として全て語られるので更にややこしい。今なら炎上と名付けられる状態だが、その破壊力を前に、現実とはなんなのか、こんがらがってしまわないよう気を付けたい。
2020/07/23
魚京童!
スウィングの人か。「生まれの良し悪しは運次第 王様になるか、羊飼いになるか 偶然がその違いを作り出し 才覚がすべてを覆す 誰もが媚び諂う王たちの 誉れも死んだら終わりだが かくてヴォルテールは不滅なのさ」フィガロの結婚 羊飼いとは悪魔使いなのだろうか。それはヤギか。羊飼いはなぜ下に見られているのだろうか。牛飼いと同じ部類なのだろうか。羊と牛とそれから山羊。何が違うのだろうか。何が同じなのだろうか。世界での扱いはどういうものなのだろうか。面白いけど、文献が禁書になってるよね。探すことすら禁忌になってしまう。
2024/05/25
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