首都感染 (講談社文庫 た 110-3)
首都感染 (講談社文庫 た 110-3) / 感想・レビュー
鉄之助
表紙に薄く印刷された「PANDEMIC」。10年前はまだ一般的な言葉でなかったため、『首都感染』をメインタイトルにした、と著者は語っている。まさに、現代の世界危機を見ているような「予言小説」だった。「不要不急の外出をやめよう」とか、アナウンサーも感染したりトイレットペーパーの買い占めのシーンも登場する。小説の設定では、全世界71億人の人口のうち、80%にもあたる56億8000万人が感染して何と22%の12億人余りが死亡する。このような最悪の状態にならないためには…。私たち一人一人が試されている。
2020/04/20
みも
凄い。小説と事実が混淆し、僕の中で混乱が生じるほど現況と酷似。COVID-19パンデミック以前に読んでいたら、とても作者の警鐘として受容し難く、むしろ事態の変遷や政府の対応、更に世界的な経済活動停止など、非現実的だな…そう思ったに違いない。今まさに、ここに描かれた恐ろしい事態が現実となっている。イタリアやスペインの感染・死亡の加速度、また、大都市の封鎖や欧米諸国での外出禁止令や世界各国の渡航制限、世界的株価の暴落や医療崩壊にも言及している。これが強毒性でエボラ出血熱並みに致死率が高かったら…想像を絶する。
2020/03/22
はにこ
もしこの本を一年前に読んでいたとしたら、こんな恐ろしいことあったら困ると他人事として感じただろう。しかしコロナ禍の今、この本に書かれていることはもう10ヶ月以上続くコロナと人類との戦いの記録とも思えてくる。その本が10年前に出版されたことに非常に驚く。未だ終息を見せないコロナ。しかし遠すぎない未来に皆と寄り添って暮らせる日々を望まずにはいられない。
2020/11/18
タイ子
いろんな意味で恐れおののいた作品。10年前に刊行されたにも関わらず、現在日本が直面している危機的状況に似通う部分があまりにも多すぎる。中国でワールドカップが開催される最中、新型ウイルスが蔓延し始める。中国の危機感のなさが被害を大きくし、やがては世界中に広がる怖さ。日本では元WHO感染症対策のエキスパート医師の瀬戸崎優司が東京を完全封鎖する案を首相に提案。強毒性ウイルスと医師、看護師、国家の闘いが始まる。小説なので時にドラマティックな部分もありながらも日本の今なすべき事が示唆される作品。高嶋さん凄いな。
2020/03/31
井川浩
今のコロナ禍だからこそ、手にとってしまいました。舞台は首都圏、題材は強毒性インフルエンザですが、今世界がおかれている状況に酷似しています。同じタイミングで映画『感染列島』も観ました。どちらも政府や医療従事者の目線で、精神的にも肉体的にも壮絶な対応劇が描かれています。この地球ではウィルスと闘う機会が今後も生じると予測できる中、我々一人ひとりが悪影響を拡散しないような節度ある行動をしなければならないことを強く感じさせられました。
2020/07/27
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