盤上のアルファ (講談社文庫 し 104-1)
盤上のアルファ (講談社文庫 し 104-1) / 感想・レビュー
遥かなる想い
将棋を題材にした物語である。 登場人物の誰もが 個性的で 面白い。 新聞記者 秋葉、将棋棋士を目指す 真田、 そして 静 と個性的な女性たち… 底に流れる 本流から 外れた 不遇の精神が 共感を覚える。 出来すぎた エンディングも 心地良い、将棋に魅せられた男臭い物語だった。
2019/10/05
ナルピーチ
一匹狼の“新聞記者”と孤狼の“アマチュア棋士”の二人の出会いからプロ棋士になるための編入試験までを描いた胸を熱くさせる物語。八十一升の基盤を挟み対面するとそこは二人だけの空間となり、勝負師による真剣勝負は“覇”を競う戦場と化す。会話などは一切ない。静寂の中、聴こえてくるのは「ピシッ!」と鳴り響く駒音のみ。まるでその場で見ているような臨場感と緊張感が半端なく、この世界に没頭した。デビュー作とは思えない著者渾身の一冊は将棋に対する情熱と思いの丈が文面から溢れ出ており、読後に得る高揚感は計り知れないものである。
2022/09/25
KAZOO
塩田さんの作品はあまり読んでいないのですが、最初の作品ということで読んでみました。最初は警察担当の新聞記者が文化部に移動になったことから記者が主人公と思っていたのですが・・・。ここに出てくるアマチュアの将棋さしが主人公でその生き様を幼少の頃から描いています。記者はどちらかというと狂言回しのような感じで損な役割です。出てくる登場人物がいずれも一癖ありそうな感じでした。
2019/06/04
のり
新聞記者の「秋葉」は遣り甲斐のある社会部から文化部に左遷され荒む日々を送る。興味も知識もないが将棋担当になる。行きつけの小料理屋で居合わせた「真田」といさかいを起こすが、この出会いが思わぬ展開に…真田の過去は苦難続きであったが、彼には将棋があった。一度は諦めたプロ棋士を再度目指す事にしたが決して楽な道ではない。正に血が滲むような努力。内に秘めた熱量。支える仲間も…駆け上がる階段はまだ高いが上りきって欲しい。盤上のアルファ、なる程。昇り龍の林こと大門のキャラが凄い。盤上に散るも楽しみである。
2019/11/15
じいじ
むかし、ヘボ将棋に熱中したころが懐かしい。「将棋」を題材にした小説は数多く書かれているが、中々「これは、いいぞ…!」という小説にはブチ当たりません。先日読んだ『覇王の譜』で、少しばかり「将棋熱」に火が付きました。さて今作は…? 先般読了の『罪の聲』で満塁ホームランをかっ飛ばした作者のデビュー作ということで、期待を込めて手にとった。中々に面白いです。登場人物もプロ棋士を目指すもの、それを取材する新聞記者…とメンツが揃っています。将棋もプロの世界は、勝った負けたに命がかかっているから…迫力があります。
2022/10/12
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