星と輝き花と咲き (講談社文庫 ま 41-5)
星と輝き花と咲き (講談社文庫 ま 41-5) / 感想・レビュー
UK
女義太夫:竹本綾之助の実話をベースとした物語。作者の実力を見極めたくて読んだ、というのが本音。物語そのものは素直に面白く没入できる。冒頭に綾之助の写真があるので、一層生々しく実話として感じられる。でも別の見方をすれば、実話をベースにしているからこそ、それが縛りとなって暴れようがなく大人しくなった印象がある。うーんこの著者さんがもっと自由に動けるテーマの作品を選ばなきゃだな。でもよかったよ、この本。
2018/02/05
サンディK32
単なる半生記かと思いきや、随分っドラマチックでありました。クライマックスで母親、お勝の渾身、正に命を懸けた最後の説法は名場面でした。 近久さんもカッコ良かった(^0^) 女義太夫といえば、星川清司氏の小伝抄が直ぐに思い出されますが、この綾之助ものも、直木賞に相応しいかと… あっ!松井さん、とっくに獲ってましたねm(__)m
2015/10/20
カピバラ
今年の読み始めの一冊。浄瑠璃の話ならば、正月にぴったりかな!と新幹線で読み始めると、後ろで騒ぐ子供も気にならないくらい没頭しました。うむ、面白かった!男装の美少女って本当魅力的!どうする、どうする!の掛け声が面白かったけど、追っかけって怖いなぁ。書生がぞっこんで追っかける姿は、AKBに熱狂するオタクと同じ心理かしら。これが実在する人がモデルだから、素敵!いやはや良かった。
2014/01/03
ヨーイチ
分類としては、松井今朝子の芸道物。同時に明治期の風俗がキチンとまとめられている。巻末の解説で中森明夫が「初めて成功したアイドル小説」なんて自分の土俵で定義している。作者の目指した方向が気になるところだ。そう言われてみると、時代を現代にしても成立することに気がつく。演劇、芸能史では傍系の扱いである、東京の素浄瑠璃の女義太夫が、空前の人気を誇った時期かあったのは知っていたが、資料を読み込んだ描写が印象的であった。「どうする連」と呼ばれた親衛隊が声を掛け合った当時の寄席の雰囲気 続く
2013/12/31
タツ フカガワ
明治のころ、声・音感・記憶力と天性の才能を持つ美少女綾之助は、11歳にして娘義太夫として注目をあびる。その人気は、いまのアイドルそのままの凄まじさ。それから十余年、人気絶頂にいた彼女はある決断をする。実在の娘義太夫のパフォーマンスや芸での葛藤、人気の重圧など、半生を描いた物語は一気読みの面白さでした。「人はそれぞれの物語を持ち、そこに他人を住まわせ、自分もまた他人の物語の中に住んで、共に生きているのだ」の記述がそのまま本書を物語っているようです。
2017/11/23
感想・レビューをもっと見る