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ひそやかな花園 (講談社文庫 か 88-12)

ひそやかな花園 (講談社文庫 か 88-12)

ひそやかな花園 (講談社文庫 か 88-12)

作家
角田光代
出版社
講談社
発売日
2014-02-14
ISBN
9784062777582
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ひそやかな花園 (講談社文庫 か 88-12) / 感想・レビュー

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ミカママ

『空中庭園』『八日目の蝉』に連なる、「家族のあり方」を問う一冊。子どものころ毎年夏になると、山荘でキャンプをした数組の家族。ある年いきなりその集まりが突然なくなり、大人に聞いても誰も本当のことを教えてくれない。あの夏の日は夢か幻だったのだろうか。成長した子どもたちは、お互いを探し出し、キャンプの「秘密」を知るのだった。読みながらいろいろモヤモヤしてしまう。社会のタブー、そしてテーマとなる、家族の本質やあり方。ひょっとしたら角田さんのライフワークなのかもしれない。

2022/08/04

milk tea

角田さんの本は(真梨幸子さんもそう)は、背景、登場人物が複雑なのでメモを取りながら読む。サマーキャンプで出会った子供達は、みな非配偶者間人工授精で生まれていた。ここから父親探しが始まる。父親とは?この人が私の父です、と自分の遺伝子元がわかればいいのか。真実に近づくにつれ、幸せの意味を探す。これは非配偶者間人工授精で生まれた人だけでなく、生きてるみんなが思うこと。そしてみんな同じように悩みながら生きてる。そうは書いてみたものの、自分だったら与えられた運命を受け入れ、自分の存在にありがとうって言えるだろうか。

2017/06/17

エドワード

幼い時の夏休みは、夢の楽園。断片的な記憶は永遠の<夏の幻影>。トンボの舞う高原。遠浅の海水浴場。「人間の証明」のジョニーのように、私にも<あれは何の記憶だろう>という夢とも現実ともつかぬ記憶がある。めくるめく夏休みのキャンプの記憶を共有する七人の男女。幼い彼らが成長した後、たどりついた事実とは…。ミステリアスな展開で一気に読ませる。本作品でも、家族の絆を描く角田光代の姿勢は一貫している。「こどもがほしい」夫婦の心は自然だが、こどもは親の所有物ではない。<夏のこどもたち>が背負ったものの大きさが痛切だ。

2014/02/24

じいじ

年に一度、夏の数日間を過ごすために集まる七組の家族。7人の子供たちは、どう羽ばたくのだろう…。この7人の子供たちからは「家族って? 親子って?」何かを考えなさい、と問題を突き付けられた気がしました。途中、7人の主人公は、少々記憶力にボケが始まった私には辛いなぁ、せめて3・4人にして欲しいと思った。読了してみると、この物語は、7人の子供だから成立したんだと納得した。この小説は、人生において起こりうるかもしれない、という視点で紡いだ著者の力作だと思います。とても読み応えがありました。

2022/08/18

R

何人かが集まれば、それが仲間のような、まだ名前のない会合になる。詳細でも、複雑でもない設定が、見事に人間ドラマを描いていて、ただ集まっていただけの子供たちが、それぞれ成長し、様々な大人になっている姿、それが再び集まったときの、戸惑いと怒り、だけど、過去を思い出すにつれ、それを許してしまうような、ただの怒りではないものがリアルで面白かった。まったくの他人のはずなのに、なぜか関わってしまうという人間の性みたいなものが、優しさのようにも見えてしまう。

2020/01/05

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