人生オークション (講談社文庫 は 105-2)
人生オークション (講談社文庫 は 105-2) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
『東京ロンダリング』以来の原田さん作品です。いつも魅力的なタイトルの原田さん作品ですが、今作もタイトルに惹かれ手に取りました。不倫の末に警察の世話になり、ワケあり生活を強いられたアラフォーの叔母「りり子」さんと、その姪「瑞希」との最初はギコチない間柄も、少しずつ時間を過ごしていくうちにお互いを気にし合い、どこか憎めない間柄に。そんなハートフルな作品をありがたく読ませていただきました。2人の絆を深める‘オークション’に関する記述もなかなか興味深く、併録されている『あめよび』も含め、楽しませてもらいました。
2015/11/21
ノンケ女医長
かなり楽しんで読めた。タイトル章の「人生オークション」では、りり子(表紙の女性?)の、今にも消え入りそうな危うさにハラハラした。なんだかんだ、手を差し伸べてくれる人に恵まれるけど、安定とはほど遠い運命にあるみたい。「あめよび」はもっと素晴らしかった。眼鏡販売で真価を発揮した美子。相手の体調や価値観をも見遠してしまう、研ぎ澄まされた観察力と気心の持ち主。輝男と過ごす時間は、いつも全力勝負で、引き込まれるように読んだ。諱を知った美子は、オーストラリアに旅立たないのではと思った。
2022/12/09
エドワード
不倫して一文無しの叔母が大量に貯め込んだモノを次々にネットオークションでお金に変えていく第一話。笑わせる話の下に、母の人生観「普通の人は一生懸命仕事をしたり、子育てしているうちに、本や勉強の記憶などうすれるものなの。それがまともな大人なの。りり子は読書だ旅行だって好きなことだけやってふらふら生きてきたの。」が語られ、実に深く苦い。第二話は若い男女の結婚観のすれ違いだ。あめよび=野球中継の無い時用の番組。放送作家を夢見る男が結婚をしぶる。「あなたの人生は結局あめよびなのよ。」何とも言えずズシンと来る話。
2016/03/31
mariya926
最近断捨離を頑張っているので、背中を押してもらいたい動機で読み始めましたが、あまり押されなかった(笑)傷害事件を犯した叔母の家に行き、離婚して送られてきたダンボール箱を片付ける為に始めたオークション。私も今、断捨離目的で売りたい物がありますが、手間を考えるとなかなか。オークションをしながら、生き方というか考え方も断捨離されていって、最後は良いラストですが···やっぱり背中を押して欲しかった(笑)
2023/12/18
読書のーと
本書はタイトルの「人生オークション」の他に「あめよび」という小説も収録されている。 どちらの話も切なくもありながら、しかし「あぁ、こんなことって実際あるよなぁ」と私の中では主人公に共感できるストーリーだった。 「人生オークション」では、物を処分することと比例して、徐々に主人公の気持ちも整理されていくのが感慨深い✨ また「あめよび」では、ゴリラが結婚を望まない理由や「諱(いみな)」の件についての伏線も、巻末の解説に記載されており、ストーリーを読んだだけでは推察できなかった部分まで、鑑みることができた✨
2022/09/18
感想・レビューをもっと見る