パパの電話を待ちながら (講談社文庫 ろ 13-1)
パパの電話を待ちながら (講談社文庫 ろ 13-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
イタリア各地の出張先から夜ごとの電話で、小さな愛娘に一夜に一話のお伽話。これはイタリア版千夜一夜の物語。ただし、本家がふんだんに持っているエロティックなお話はなし。なにしろ、娘はまだ小さいのだ。そして、一つ一つのお話はとっても短いショートショート。なにしろ電話代もばかにならないものだから。時々はいくらかは長めのお話も。内容は、他愛ないものの、ちょっとシュールなお伽話。原文のイタリア語で読めないのが残念。イタリアの子どもたちや、元は子どもだった人たちみんなに愛されているのも、さもありなんといった風情。
2017/03/17
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
読んでいるあいだずっとしあわせだった。 出張先のお父さんが寝物語に電話越しに聴かせるはなしはまるで子どもの頃のたからものを集めた宝石箱みたい。電話交換台のお嬢さんたちも手を止めて聴き惚れます。 空からはいちごやミントの味のコンフェッティ、海岸沿いの回転木馬は空をとぶ。イースターの卵から出てくるのは宇宙ヒヨコ、エレベーターは惑星までのぼっていきます。お爺さんはやさしくておとこのこはいつだってかわいい。こんなおはなしを聴きながら毎日ねむりにつく子どもは、どんな大人になるんだろう。
2020/10/24
KAZOO
イタリア在住の内田洋子さんがイタリアの有名な児童文学者のジャンニ・ロダーリのショートショートを訳されたものです。出張が長い父親が電話で娘に話を聞かせるもので2~3ページの話がたくさん詰まっています。イタリア的なものが多い気がしますが、結構シュールな感じのものも多いと感じました。あと3冊訳されているようで楽しみです。
2023/02/05
mocha
仕事で留守がちのパパが、電話で娘に語ってあげるおやすみ前の小さなお話。「イタリアの宮沢賢治」というフレーズに惹かれて読んだ。奇想天外でユーモアあふれるお話が次から次へと60話。宮沢賢治というより藤子・F・不二雄さんの漫画みたいだ。小さい小さい女の子アリーチェ・コロリーナや、優しくてとぼけたおじいさんのキャラクターがお気に入り。
2018/06/13
アン
「あのねパパ、毎晩お話をひとつ、してくれる?」イタリアの児童文学作家による不思議で愉快なショートショート。秘密の言葉、魔法の回転木馬、老人の素敵なステッキ、流れ星を作る機械、宇宙へのエレベーター…。アイロニーを漂わせたお話もありますが、子供への愛情に溢れ、優しい温もりが感じられます。ラストに唐突さを感じるお話も、想像が広がるかもしれません。子供たちのクスッとした笑い声がきこえ、夢をみる時間がゆっくりと流れるようで、夜のおやすみ前におすすめです。訳は内田洋子さん、表紙は荒井良二さん。
2020/04/05
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