メルカトルかく語りき (講談社文庫 ま 32-7)
メルカトルかく語りき (講談社文庫 ま 32-7) / 感想・レビュー
mihya
銘探偵が活躍する短編集。1編読む度に「おいおいおい…」って苦笑する。「死人を起こす」では面食らったが、論理的にはなってるものの消える魔球みたいな変化球で面白かった。 「収束」が好き。
2023/05/12
セウテス
【メルカトル鮎シリーズ】第6弾。名探偵ならぬ銘探偵メルカトル鮎と、小説家美袋三条の5話の短編集。特徴は論理的に考察すると、結論はこうなるという事だが、その解答が理屈に合っていなくても、謎解きは謎解きで真相なのだと言いきって仕舞う事だ。「収束」は如何にもミステリアスなプロローグで、これはメルの物語だと言い聞かせても、期待してしまう程だ。「答えのない絵本」は文字通り、論理的に考えれば考える程、袋小路にはまってしまう。しかし本格ミステリを作る上での問題を、問い詰めていくとこう反発したい、そんな思いを感じている。
2022/04/07
hit4papa
希代の名探偵と誰にも言わしめるがその名探偵ぶりがさっぱりわからない、”銘”探偵メルカトル鮎が主役の短編集です。5つの不可能犯罪を一刀両断、サクサク解決といきたいところですが、ますます読者を迷いの森に誘ってしまいます。事件解決よりも名声ファーストの潔さ。アンチミステリとしても、いままでお目にかかった事がないような結末を提示してくれます。「死人を起こす」で軽いめまいを感じ、「九州旅行」で一息つき、「収束」で気を失い、「答えのない絵本」で振りかぶって、「密室」で壁に叩き...これぞ、メルカトル鮎シリーズ。
2017/08/15
たか
『メルカトルは不可謬ですので、彼の解決も当然無謬です』作者のカバーの言葉も頷ける…。 本書は、ミステリの基本である『フーダニット』に完全に背を向けた『アンチフーダニット』で統一された作品集となっている。 即ち『他殺であるにも関わらず、犯人が特定されない』という作品ばかりを集めた短編集だ。 しかし、犯人が特定されないこと以外は、本格的な謎解きに全力が注がれているのが凄い!麻耶雄嵩だからこそ、いやメルカトル鮎だからこそできる、新たな試みだろう。B評価
2021/10/16
nemuro
“しりとり読書”にて『兎の眼』(灰谷健次郎)に続いての79冊目。本棚には他に5冊並んでいて、一見、馴染みの作家のようでもあるのだが、しばしの考察の結果(アンソロジーでの既読作はあるのかもしれないが)たぶん読了は初めて。帯に「ドMなミステリファン、快感絶頂!傲岸不遜な「銘」探偵、絶句の謎解き5連発」。更に帯の裏面には「第12回本格ミステリ大賞 最終候補作」「このミステリーがすごい!2012年版 第7位!」ともあるのだが、イマイチ波に乗れぬまま“しりとり”の次に繋げるべく多少の義務感を伴っての読了も否めない。
2022/10/03
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